世界最大規模のアートフェアを開催するスイスのアート・バーゼルと同国最大の銀行UBSが共同で実施している年次調査「The Art Basel and UBS Survey of Global Collecting」の最新の報告によると、コレクターの支出額の中央値は、女性がおよそ7万2500ドル(約1050万円)、男性が5万9400ドル(約860万円)となっている。
ただ、男女別にみた平均支出額は、男性の方が多い。これは、男性には少数ながら、非常に高額の支出をしているコレクターがいるためだ。毎回の調査で、100万ドル以上を支出する男性は女性の倍に近い人数にのぼっている。
「売れる」作家は男性が多数
最新の調査結果は、過去最大の規模で実施されたものだ。対象者は世界の主要な11地域のHNWのコレクター、2828人。UBSの協力を得て、主にアーツエコノミクス(Arts Economics)が収集したデータを分析した。アーツエコノミクスは2005年に文化経済学者のクレア・マクアンドルー博士が創設した調査・コンサルティング会社。アートや骨董品、コレクティブル(収集品)市場を専門としている。
その調査結果によれば、女性のHNWのコレクターが急増する一方で、購入される作品は依然として、男性アーティストが手掛けたものが過半数(61%)を占めている。女性アーティストの作品の割合は前年比で3%減少、39%となっていた。
だが、アート作品に毎年1000万ドル以上を支出するコレクターが購入する作品は、女性作家のものが多い傾向があるという(最新の調査結果では54%)。支出総額に占めるその割合は、2021年の46%から、55%に増加していた。
これが示唆するのは、最高値がつけられた作品には、わずかでも女性アーティストの作品が含まれていたということだ。マクアンドルーはこうした調査結果について、次のように述べている。