Spotracによれば、大谷は今シーズン、世界で最も稼いだ野球選手であり、推定総収入はMLB記録となる6500万ドル(約94億円、税引き前、代理人手数料込み)にのぼる。それでも、3000万ドル(約44億円)という年俸だけを見れば、リーグ15位に過ぎない。
大谷が新たに結んだ10年契約の平均年俸に基づくと、来年度の総年収は1億500万ドル(約150億円)となり、今年の額を4000万ドルも上回る可能性がある。なお、アスレチック紙のケン・ローゼンタール記者によれば、大谷の契約には「前例のない」後払い(支払い延期)が含まれると報じられているが、これはドジャースが年俸支払いの融通性を維持できるようにと、大谷自身が提案したものだという。
それでも、大谷が2018年シーズンにMLBに移籍したことで、収入ランキングのトップへの登板が遅れたのは、いくぶん自業自得と言える。当時、プロ経験が6年未満の23歳だった大谷は、球団が外国人有望株に提示できる金額を制限する国際契約ルールの適用を受けたのだ。田中将大(1億5500万ドル)、ダルビッシュ有(6000万ドル)、そして最近では千賀滉大(7500万ドル)のように、日本人スターが高額契約で米国にやってきたのに対し、大谷はわずか230万ドル(現在の為替レートで約3億3000万円)の契約金と54万5000ドル(同約7900万円)のリーグ最低年俸でエンゼルスに入団した。もし25歳の誕生日を待っていたら、さらなる大金が手に入った可能性も高い。
その代わり、大谷は球界最高の掘り出し物の1人となった。エンゼルスで、投手以外の時は指名打者として出場。故障のために出場はエンゼルスの試合数の72%にとどまったとはいえ、2度のアメリカンリーグMVP、アメリカンリーグ新人王、そして2度のシルバースラッガー賞を獲得し、トロフィーケースを埋め尽くした。2021年、大谷はMLBオールスターゲームの90年の歴史で初めて、打者と投手の両方で選出された選手となり、この偉業を2022年と2023年にも繰り返した。
プレーオフに一度も出場することなく6シーズンを終えた大谷が入団するロサンゼルス・ドジャースは、11年連続でポストシーズンに進出し、2020年にはワールドシリーズを制覇し、フレディ・フリーマンとムーキー・ベッツというMVP獲得経験のある選手を擁するチームだ。彼の値札は安くなかったかもしれないが、ドジャースには確かに彼を獲得できる余裕がある。大谷と契約する前に、チーム総年俸を1億ドル以上も精算したことに加え、このチームのオーナーはプライベートエクイティの大富豪であるマーク・ウォルターだ。フォーブスはウォルターの資産を58億ドル(約8400億円)と見積もっている。
(forbes.com 原文)