二刀流の大谷は2023年、打者として44本塁打、投手として10勝を挙げ、史上初めて2年連続で同一シーズンに10勝・30本塁打以上を達成するなど、数々の新記録を打ち立ててきたが、新契約によりまた新たな記録を視野に入れることになる。米国スポーツ界の契約や年俸総額などのデータを集計・分析するサイト「Spotrac」によると、現在29歳の大谷がこの新契約を満了すれば、プロ野球選手としての生涯収入額は2016年に総額約4億5500万ドル(約660億円)を稼いで現役を引退したアレックス・ロドリゲスの記録を抜き、MLB歴代トップとなる約7億4200万ドル(約1075億円)となる。
大谷とドジャースの契約が報じられる以前、生涯収入がロドリゲスを超えると予想されていたのは、現在32歳のトラウトだけだった。トラウトは、2030年シーズン終了までに4億8000万ドル(約700億円)以上を稼ぐ予定だ。大谷はメジャーリーグに活動の場を移してからこれまでの6シーズンで、4200万ドル(約61億円)余りを稼いでいた。
スポンサー収入なども考慮すると、大谷は次元が異なる。1年間に球場外で稼ぐ収入は、3500万ドル(約51億円)を超えるとフォーブスは見積もっている。これに対し、ロドリゲスはキャリア全体を通して、スポンサー契約、出演料、グッズの売上などで推定3500万ドルを稼いだ。一方、トラウトが2023年に球場外で得た収入は400万ドル(約5億8000万円)と、大谷に遠く及ばないが、それでもメジャーリーグの選手では4番目に多い(大谷、アーロン・ジャッジ、ブライス・ハーパーに次ぐ)。
一般的に野球選手は、地域密着やファン層の高齢化、シーズン中の過酷なスケジュール、リーグ間の激しい競争などの理由によって、マーケティングの機会が比較的限られている。対して、例えばNBAのスター選手であるレブロン・ジェームズとステフィン・カリーは、バスケット以外での活動によって、それぞれ推定7000万ドル(約101億円)と5000万ドル(約72億円)を稼ぎ出している。
しかし、日本で生まれて5シーズンを日本のプロ野球でプレーした大谷は、2017年にエンゼルスと契約して以来、マーケティングのスーパースターに成長した。ハンサムでカリスマ性のある大谷は、米国ではスポーツグッズなどを扱うファナティクスや、トレーディングカードのトップス、日本では「バンテリン」ブランドで知られる製薬会社の興和、時計ブランドのセイコー、そしてファッションブランドのヒューゴ・ボスなどの企業と13のパートナーシップを結び、日米両国で引っ張りだことなっている。
2023年1月、大谷がスポーツ用品メーカーのニューバランスと長期契約を結んだ際、同社のチーフ・マーケティング・オフィサーで、億万長者ジム・デイビス会長の息子であるクリス・デイビスは、大谷が同社のシグネチャー・モデルのシューズの契約に「おそらくもっとも一致する」と言い表した。
「翔平の場合、私たちは彼が一時代に一度の選手だとは思っていない。彼は一生に一度の選手だと信じている」と、3月にデイビスはフォーブズに語った。
米国チームスポーツ史上大型契約トップ5
順位/名前/スポーツ/契約金/期間/契約年/年齢1位 大谷翔平 MLB 7億ドル 10年 2023年 29歳
2位 パトリック・マホームズ NFL 4億5000万ドル 10年 2020年 24歳
3位 マイク・トラウト MLB 4億2650万ドル 12年 2019年 27歳
4位 ムーキー・ベッツ MLB 3億6500万ドル 12年 2020年 27歳
5位 アーロン・ジャッジ MLB 3億6000万ドル 9年 2022年 30歳
出典:Spotrac