『The Day Before』は本物のゲームと判明… ただし内容は詐欺レベル

(c)Fntastic

新作ゲーム『The Day Before』については、実は存在しないのではないかという懸念が浮上していた。非常に小規模なチームにより開発されていた同作は、『ディビジョン』の流れを汲む広大なサバイバルMMOとなるとされ、トレーラーの出来はすばらしく、何年もかけて開発された大作のような印象だった。だが次第に、同作がある種の詐欺ではないかと疑う人が増えていった。

だがこのたび、その『The Day Before』が、本物のゲームであることが判明した。7日(日本時間8日)、PCゲームプラットフォームのSteam(スチーム)にて40ドル(日本では4500円)にて発売されたのだ。大物コンテンツクリエイターたちが同作をプレイする様子のストリーミング配信は、50万人に視聴された。

ところが、『The Day Before』はすぐに、今年最悪のゲーム候補となった。年末直前の滑り込みだ。同作は実在していたわけだが、その内容は宣伝文句からほど遠く、ゲームのジャンルすら違うものだった。そのため、プレイヤーは騙されたと感じている。

『The Day Before』は、核となるコンセプトとして「MMOサバイバル」をうたっていた。だが実際にはまったく違うジャンルの「エクストラクションシューター」であり、敵を倒して戦利品を手に入れ、安全なゾーンまで脱出する内容だ。MMOが「マルチプレイができる」、サバイバルが「死なないようにがんばる」という意味でないかぎり、このゲームはサバイバルMMOとはとても呼べない。

加えて、グラフィックとゲームプレイは、これまでに公開されたどのトレーラーよりもクオリティが低く、規模も小さい。街はほとんど空っぽで、一度に数体以上のゾンビに遭遇したらラッキーなレベルだ(さらに、ゾンビゲームであるのに、メレー武器による近接攻撃ができない)。

またとんでもないバグだらけなのだが、これは正直、同作で一番おもしろい部分かもしれない。私は、今年見た中で最も笑えるバグを捉えたプレイ動画の数々に抱腹絶倒している。


このゲームに好意的な反応をしている人は誰もいない。ストリーマーたちはこぞって同作をやゆしているが、そのうち、あまりのひどさに笑えなくなり、プレイをやめるだろう。こんな状態のゲームに40ドルの価格をつけるのは厚かましいことであり、Steamのレビュー総合評価はたちまち「圧倒的に不評」へと転落した。

『The Day Before』は、実際には存在しない詐欺ゲームではなかった。だが、約束していたことをまったく実現せず、ほぼプレイ不可能なまでの低クオリティな内容で、ネット上で笑いのネタにするためにプレイする価値しかない状態でリリースしたという意味では、詐欺だ。ゲーム業界はまた1つ、教訓を得た。

筆者はこの件について開発元のFntasticにコメントを求めている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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