宇宙

2023.12.10 09:00

宇宙ステーションで消えたトマトの謎、8カ月ぶりに解決

土を用いない植物栽培システム「XROOTS(エックスルーツ、eXposed Root On-Orbit Test System)」で育成中のミニトマト(Frank Rubio/NASA)


宇宙飛行士にとって新鮮な野菜はごちそうだ。だが、宇宙空間での植物栽培は難しい。「Veg-05」実験では初期段階で、発芽した種子が成長周期の重要な時期に予期せぬ湿度低下に見舞われるという問題が発生。環境ストレスのため、実が熟したトマトは12個だけという結果に終わった。「サンプル数が少なく、カビ汚染の恐れもあったため、宇宙飛行士はトマトを味わうことができなかった」とNASAは収穫後の今年4月に報告している。ルビオがトマトを食べていなかったのは、むしろ幸いだった。
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それでも、この実験からは多くの研究データが得られた。研究主任のジョイア・マッサは、「植物が水不足による強いストレスにさらされたらどうなるかがわかる。宇宙旅行で起きがちな状況だ」と語った。

ISSから単身冒険に飛び立った存在は、このトマトが初めてではない。11月には船外活動中の宇宙飛行士が工具袋を紛失したが、これはトマトのように回収されることはないだろう。ハイテクなシステムと高度な訓練を受けた専門家が集まった環境といえども、宇宙では紛失物が発生し得るのである。

もしかしたら、これがきっかけで「宇宙乾燥トマト」という新しいおつまみが誕生するかもしれない。
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forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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