16年、大学在学時にデビューした春だが、当時「海外」は視野になかった。きっかけは、18年にエントリーして出演した台湾の音楽フェス。そのライブパフォーマンスを見た音楽関係者がほかのイベントを紹介してくれて、次へ次へとつながった。同年にリリースしたフルアルバム『春と修羅』に踊れる曲やスクリームを取り入れたことで、ライブに動きが出て海外のオーディエンスにハマったのだ。19年にはアジア、ヨーロッパをツアーで回った。
最近はライブパフォーマンスについて「盛り上げるだけでなく、家に帰った後に思い出してもらえるくらいのものを届けたい」と考える。「そうじゃないと、自分がライブする意味はあんまりないなって。『友達との関係で悩んでいたので、今日この曲をやってくれてうれしかった』などと言われたときはうれしかったですね」
春が放つメッセージは、決して万人受けを狙ったものはない。「全然友達ができなくて、教室の隅でひとりでごはんを食べているような人」に向けて歌っているのだという。だからこそリスナーの“母数”を増やすべく、これからも世界を舞台に歌い続ける。
※この記事は 「Forbes JAPAN 2023年12月号」に掲載されています。
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はる・ねむり◎1995年生まれ、横浜市出身。自身で全楽曲の作詞・作曲・編曲を担当する。2018年、1stフルアルバム『春と修羅』をリリース。翌年ヨーロッパの巨大フェス「Primavera Sound」に出演し、6カ国15公演のヨーロッパツアーを開催。23年、北米、ヨーロッパ、アジアツアーを開催した。