AI

2023.12.09 08:00

生成AIの普及が大衆にもたらす「実用的なスーパーパワー」

「人工知能」を使って問いに回答するシステムは、何十年も前から使用されてきた。多くの企業が実務でAIを使用した最初の体験は、1970年代後半に、表計算ソフトウェアが最初に市販された時だろう。このソフトウェアによって、企業は自社の財務データに関して、「この条件であればどうなる?(what if?)」という重要な質問を投げかけ、シミュレーションを行なうことが可能になった。チャットエンジンは、こうした表計算におけるAIのコンセプトを、数字だけでなく、言語の分野にまで拡張したものだ。

実際、表計算ソフトは、財務や資産運用の担当者に「スーパーパワー」を与えた。そして今、AIベースのチャットエンジンが、あらゆるユーザーに、同様のスーパーパワーを与えている。

人々がAIを「人間の知性を拡張する能力」として受け止めるようになれば、AIはあらゆるテーマについて、人間が求める回答や解決法、さらには歴史的な文脈を提示し、人々の力になるはずだ。そして、ある意味でAIは、現在の検索エンジンの回答範囲を超える、さらなるスーパーパワーを人間に与える。

AIは、情報を求めるプロンプトに回答するだけでなく、音声や映像、画像処理、本の執筆などに関連するあらゆる種類の機能や働きを実行できる。さらには、学生が小論文やリポートを作成し手直しする過程も、AIのおかげで、歴史上かつてなかったほど効率的になっている。

筆者も、AIが自分の知性を拡張する重要なツールであり、生活のあらゆる面で必要なスキルを増強してくれる存在だと理解し始めた時に、AIの概念を、より自分という人間に即したレベルで考えられるようになった。

NVIDIAのフアンCEOが言うように、「生成AIは、コンピューティングの歴史において、単一のものとしては最も重大なプラットフォームの転換」だ。さらに筆者としては、「AIはおそらく、すべての人にとって最も重要な現代的ツールだ」ということも付け加えたい。個人の世界と、さらに、より広範な世界の両方において、AIは、より奥深い知識と情報を提供し、人間にさらなる力を与えてくれるからだ。

AIがもたらすのは、知識の奥行きであり、こうした知識は実際に、人の知性を拡張する。そして、こうして拡張された知性は、すべての人にとってゲームチェンジャーとなるはずだ。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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