開発元のクラマトルスクは2S22の設計に手を加え、KrAZ製の車台を、チェコの大型トラック「タトラ」に交換した。タトラはウクライナの標準的な軍用トラックとなりつつある。クラマトルスクは最終的に、自動装填装置を欠くという2S22の設計上の最大の欠点にも対処した。
タトラの車台に搭載された自動装填式の2S22は究極のバージョンで、ますます多くの部隊に装備されるようになっている。3個の旅団にこれまでに少なくとも数門ずつ配備されたことが確認された。受け取った旅団は第1特別目的旅団、第47機械化旅団、そして第57機械化旅団だ。
ロシアの侵攻前にウクライナが保有していたりゅう弾砲とロケット発射機は2500門、一方のロシアは4500門保有していた。1年9カ月にわたる激戦で、ロシア側は約1000門、ウクライナ側は約300門失った。
双方とも古いものを修復したり、新しく生産したりしている。ウクライナの場合、同盟国から数百門を入手した。だが、前線のあらゆる方面で、双方とも毎日、供給を上回る大砲を必要としている。
ウクライナ軍は、古い大砲を新しい2S22に置き換える可能性もあるが、既存の大砲を補完するものとして配備する可能性の方が高い。
だが、りゅう弾砲の不足はウクライナの真の問題ではない。ウクライナ軍は少なくとも年間150万発の砲弾を必要としているが、過去2年近くでウクライナが同盟国から受け取ったのは250万発ほどにとどまり、不足分を国内生産で補うのに苦慮している。
米国や欧州の企業は弾薬の生産を増やしている。運に恵まれ、また持続的に資金を確保できれば、ウクライナの砲弾需要を満たせるかもしれない。
だが、資金の持続的な確保は難しそうだ。ハンガリーの権威主義政権は少なくとも一時的に、欧州連合(EU)による最新のウクライナ支援に対して拒否権を発動した。米議会の権威主義的な共和党議員らも同様に、政府が提案した最新のウクライナ支援の承認を拒否している。
2S22は近代的で効果的なりゅう弾砲だ。やがてウクライナ軍の主力大砲になるかもしれない。だが、十分な砲弾が確保できるかは不明だ。
(forbes.com 原文)