今回発表されたのは総掲載数504軒、そのうち新規掲載の店は168軒。星付き店は183軒、ビブグルマンは127軒と、過去最大の掲載軒数となった。また、東京は今回も通常の星、グリーンスター共に、「世界で最も星の数が多い都市」となった。
インバウンドも本格化する中、国土交通省観光庁長官、高橋一郎氏が冒頭に挨拶し、「長い歴史に育まれた日本料理という文化を、向上心を絶やさず高い技術で伝えるシェフたちと共に、世界に発信して未来につなげられるように尽くしたい」と述べるなど、文化の窓口としての食を強調し、日本文化の発信の窓口としての料理、そしてシェフの貢献を讃えた。
初登場「セレクテッド・レストラン」
過去最高の掲載店数とはいえ、星付き店だけでいうと、去年の200軒から17軒減少した。その理由としては、今回初登場のものとして「セレクテッド・レストラン」というカテゴリーが登場したことも挙げられる。これは、不定期で発表される「地方版」にあった“ミシュランプレート”と基本的に同じもので、価格帯に拘らず、星付き店やビブグルマン同様にミシュランの5つの基準で選ばれた店で、星やビブグルマンに選ばれるいわば「予備軍」とも言える存在。今後京都・大阪版にも登場予定だ。
こうした新たな動きとしては、ミシュランガイドはデジタルへの転換を進めており、オンラインでは毎月7~8店を「先行公開:ミシュランガイドNewセレクション」として公開する。新店なども随時アップデートされるため、「未来の星候補」の最新の情報を見ることができる。実際、日本語のアプリのダウンロード数は英語、フランス語に次ぐ第3位となっているという。
新しい三つ星、新しい二つ星
三つ星の昇格店は一店で、「すきやばし次郎」で12年間修業を積んだ髙橋青空氏の寿司店「青空」。同氏は、「これまで、自分がぶれないように他の評価は気にしないようにしてきた。でも、今日だけは素直に喜びたい」と受賞の喜びを語った。御歳98歳の小野二郎氏が今もカウンターに立つ伝説の「すきやばし次郎」は、一般の予約が困難だとして19年に三つ星から、掲載対象外となったが、その思いは髙橋氏に引き継がれていると言えるだろう。