スポーツ×AIビジネスの可能性、今後3兆円規模の予測

音楽や映像産業におけるAIの影響は大きな注目を浴びているが、今やスポーツ産業でもAIは必要不可欠だ。スポーツ産業におけるAI関連の事業規模について、クラウドビジネスの世界最大手米アマゾンウェブサービス(AWS)の機械学習責任者をはじめとするAI技術開発の第一人者や複数の学会が公表している数字によると、2030 年には 最低でも200 億ドル規模(日本円で約2兆9,455億円)に達すると予測されており、今後一層AIへの依存度は高まるに違いない。
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では、どのような領域でAIはスポーツに介在して行くのだろうか? 用途で分析すると、すでに実用化されている競技中の誤審の排除以外に、おおむね次の領域が挙げられる。有望な選手の発掘と獲得、試合データの分析、練習と指導、競技展開の予測と戦略示唆、戦略構築のリアルタイム補助、怪我の予防策提示、ファンとの関係向上、VRやARを駆使するメタバース空間での競技参加、観戦体験の提供である。  

AIで選手の怪我の可能性を最小限に

AIの導入は選手にとっても大きなメリットにつながる。パーフォーマンスの分析結果や、妥当な練習メニュー、そして栄養学的なダイエットのアドバイスなどを受けることができる。そして、自分を起用してくれる可能性のある大学、実業団、 プロチームの選択支援なども行うほか、キャリアアップに必要な話し方やユニフォーム以外のアパレルの着こなしまで、パーソナルアドバイスを受けることが可能で、欧米ではこういったサービスをすでに取り入れているプロ選手も多い。

今後、大幅な改善が期待されているのは、選手のパフォーマンスの予測機能である。AIがパフォーマンスと健康状態の相関データを分析。その情報をもとにリカバリーに最適な時間を示すことで、過度な練習を抑止し、怪我の可能性を最小限にとどめることができるようになるのである。つまり、これまで予測できなかった選手のスランプと怪我についてもAIによって予測できるようになり、実際にかなりの精度で予測が可能と言われ、実戦応用が進んでいる。

また、AIは人間の目では確認することが出来なかった、選手の微小な癖やしぐさを記録し、そのパターンを分析できる。そのため例えば投手がどのようなしぐさをしているかを試合中に分析し、次に投げようとしている球種予測をベンチに伝えることができる。
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さらに、AIはどの選手がある時期に、今まで以上の活躍が可能かを予測することもできる。つまり、これまでは過去のデータに依存することが主であった試合中の指示が、AI予測に基づいた戦略に変わってきているのである。米主要プロリーグはこぞってAI導入に積極的で、NFLは全ての試合の映像をチームに提供し選手の分析に使用させ、MLBも映像とデータをチームに配布、NBAは更に球団のスカウティングを支援するAI分析データをチームに供与している。 

スポーツ用具のAI導入も進んでいる。企業が新製品のデザインや機能の向上のみならず、新たに用具にAIを組み入れ始め、スポーツブランドのアディダスはボールの進む角度や速度を自動補正するサッカーボールを開発している。AIの導入により、製造過程や用具の機能を短時間で更新して行く可能性は無限であり、大きな貢献が期待されている。
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