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2023.12.12

現場に意思決定と行動を——パナソニックグループを革新する「使える」データ基盤構築

データ基盤の構築支援によりビジネスに貢献するインサイトテクノロジー社の協力のもと、本質的なデジタル・データ活用のために、「使える」「使われる」データ基盤の構築が重要であること、またその困難さとそれを乗り越えることで広がる可能性について提示する連載企画。

第二回では、優れたIT活用事例を表彰する日経コンピュータ主催の「IT Japan Award 2023」にて、最優秀賞となるグランプリを獲得したパナソニックホールディングスのIT中枢を担う、パナソニック インフォメーションシステムズ データ&アナリティクスソリューション本部本部長の片岡栄司とインサイトテクノロジー取締役 CDOの高橋則行が、大企業ならではの「使える」「使われる」データ基盤構築の要諦について語り合った。


現場に意思決定とアクションを促すデータ基盤を

高橋 本日はお会いできるのをとても楽しみにしていました。早速ですが、パナソニックという大企業グループにおいて、片岡さんが率いておられる組織のポジションと役割を教えてください。

片岡 はい、弊社のデータ&アナリティクスソリューション本部は、パナソニックグループ各社のビジネス部門に対してビジネスアナリシスとデータ分析のソリューションを提供する役割を担っています。今の時代、ビジネスを立案・発展させていくためにデータの利活用が重要なことは論を俟ちませんが、いざ具体的に進めようとすると、いろいろな困難に直面してうまくいかないケースも多い。これらの困難を克服するために、私たちは各種サービスの提供を通してビジネス現場に寄り添い、現場が自らデータ活用の価値を見出し事業成果につなげていく、そんな姿を指向しています。

高橋 活動を始められたのはいつごろからでしょうか。

片岡 グループ内にデータ分析専門組織の定着を目指し、2013年から活動しています。当初の2年間は組織の研究開発フェーズということで、10人未満の少人数でスポット的なデータ分析支援からスタートしました。その後、当組織の活動を、グループ向けの事業として位置付け、事業化に向けた検証フェーズを経たころに、グループ内におけるデータ活用の機運の高まりも手伝い、独立採算で運営できる見通しが立ったため、17年に本格的にグループ各社へのサービスを開始しました。現在では、社員74人と、300人近いパートナーさんを擁する規模にまで成長しました。

高橋 10年前というと、世界がビックデータに沸いていた時代です。組織設立のきっかけは何だったのですか。

片岡 組織自体は、当時のIT部門トップの指示の下、設立されたのですが、私自身はちょうどそのころ、09年から3年間出向していたメキシコの販売会社から帰任した直後でした。そのメキシコ時代の経験がデータ分析を志す契機となりました。当時のエピソードとして、マーケティングにかかった費用の内訳データを経営会議で「見える化」したところ、経営幹部の意思決定を促し次のアクションを起こしやすくなった、という出来事がありました。もともと、ビジネスの課題解決やパナソニックのお客様の価値向上という「目的」のために、ITという「手段」を有効活用したい、という思いを強くもっており、ビジネスとITが一体となった活動に非常に興味がありました。そこにビッグデータという流れも加わり、これはビジネスを支える武器と成り得ると考えて、トライすることにしたのです。

高橋 なるほど、ビッグデータは、小難しい統計モデルや予測も大事ですが、それ以前に、シンプルにデータを見える化して、仮説を立てて実践し、結果がまたデータで見える。このサイクルがデータドリブン経営のベースですが、それをまさに体現しようとされたわけですね。

片岡 そうですね。帰国後は国内家電のマーケティング部門のデータ分析からスタート。データの山のなかから「商品そのものの価値や内容をもっと伝えてほしい」というお客様の声を拾い上げたことで、Webサイトの改善や高品質な商品開発の推進につながりました。このような事例を一つひとつ積み重ねていきました。
片岡栄司 パナソニックインフォメーションシステムズ データ&アナリティクスソリューション本部本部長

片岡栄司 パナソニック インフォメーションシステムズ データ&アナリティクスソリューション本部本部長

「使える」データ基盤を築く、多岐にわたる活動

高橋 組織立ち上げから10年を経た今、データ&アナリティクスソリューション本部では、グループ各社のビジネス部門に向けて、具体的にどのようなサービスを提供されているのでしょうか。現在地を教えてください。

片岡 時代の流れのなかで変化するビジネス部門の課題やニーズに合わせて、私たちの提供するサービスも変化させてきました。駆け出しのころは先ほど述べたようなスポットでのデータ分析支援が中心でしたが、事例の集積が進むとともに役割も広がり、現場に寄り添って業務プロセス改革そのものを支援する方向に変化していきました。その後、グループ各社にいわゆる「データの民主化」という考えが広がっていきました。そのなかで、現場自らがもっとデータ活用をしやすくするために「データ活用基盤」を提供する方向に舵を切り、具体的なサービスの形をつくり上げていきました。23年現在、データ活用基盤サービスは大きく2つの基盤により構成されています。一つは、フロントエンド部分の分析ツールをあまねく現場に提供する「セルフサービス型分析プラットフォーム(Do It Yourself Analytics=DIYA、ダイヤと命名)」。もう一つは、バックエンド部分のデータレイク、カタログ、DWHといったデータインフラ機能をもつ「PX-データドリブン基盤」です。

このうち20年から先行してサービスを開始したDIYAでは、データの可視化・BIツールとしてTableauとPower BIを、また高度な分析ツールとしてSAS Viyaをライセンス込みで提供し、さらにツールの使い方に関する教育システムも整備することで、ビジネス部門のユーザが、データをさまざまな角度から分析し、自らアクションを起こせるようになってきています。グループ内での認知度も上がってきており、開始当初は300程度だったユーザ数が、今年度は目標3万(23年10月時点、2万強)に届く勢いです。国内のグループ社員は10万人程度いますので、まだ2合目、3合目ですが。

高橋 ツールを少数にしぼり、ライセンスを集中管理することで、ツールの乱立による混乱も防げますし、部署別にツールを導入するよりもトータルコストを抑えられるという点でエンタープライズ企業の理想形だと思います。分析に必要なデータは、どのように準備されているのでしょうか。

片岡 以前は、データ基盤整備を各部門からの依頼に基づいて個別に支援するケースが主流でした。2年ほど前から、事業会社や人事や経理などグループ各社にまたがった職能の単位で、一つのデータレイクにまとめる形に変わってきています。それが先ほど述べたバックエンドのPX-データドリブン基盤に当たります。

高橋 PXというと、21年から推進されている「Panasonic Transformation(※)」のことですね。やはり全体でのデータ共通基盤の整備となると、このようなトップダウンの方向づけが必要なのですね。

片岡 おっしゃる通りで、PXは「デジタルと人の力で『くらし』と『しごと』を幸せにする。」をテーマにパナソニックグループ全体で進めている、ITに限らない経営基盤強化のための重要戦略です。PXには目的達成の手段としてのITの変革も含まれており、この枠組みのなかでデータ利活用環境の拡充も進めています。PXが追い風になり、個別対応のものから事業や職能で共通の基盤整備の流れが確立されました。特に今年度は「PX-7つの原則」というパナソニックの最高意思決定会議である「グループ経営会議」のメンバーで策定されたマニフェストが、強力な後押しとなっています。私たちの使命は、トップダウンで提示された方向性とビジネスの現場におけるさまざまなボトムアップの活動を、縦断的・横断的につなぐことにあると考えています。その意味で、私たちの活動も単なるデータ基盤の提供にとどまらず、アナリストによるデータ活用支援や、多くの社内事例に基づく分析テンプレートの提供、さらには利用者同士の情報交換を促進するコミュニティ運営など、多岐にわたるものになっています。

(※)Panasonic Transformation、PXについてはこちらを参照

高橋 PXとDIYAが両輪となり、経営と現場をつなぐ組織が機能して機動力を高める。データドリブン型経営を文化として推進する企業の強さが感じられます。
高橋則行 インサイトテクノロジー取締役 CDO

高橋則行 インサイトテクノロジー 取締役 CDO(最高開発責任者)

目的=Whatを明確に。併走しつつ自走を促す

高橋 御社グループは企業規模が本当に大きいので、異なる業種に対してサービスを提供していくというところに困難もあるかと思いますが、苦労されたことやその解決策など、具体的なエピソードがありましたらお聞かせください。

片岡 グループの事業会社は8つあり、それぞれが業務部門をもってグローバル展開もしていますので、データ活用の進み具合ひとつとっても濃淡があります。私たちのスタンスは基本的には「データ活用基盤の提供を通して、現場ができることは現場にやってもらう」なので、ここはデータ活用基盤の利用がスケールするところだと思っています。一方で、どんなデータがあればどんな未来予測ができて自分たちのアクションにつなげられるのか、まだイメージできていない現場については、目的を共有するところから一緒に張り付いてやっていく必要があります。

データ活用やDXはあくまで手段だと頭で分かっていながらも、気が付けば、「手段」ではなく「目的」になってしまうケースは意外に多いものです。目的を共有しないままデータ整備を進めても、うまくいかなかったり、非効率になったりする場合が多いので、そこは踏ん張って現場に寄り添って、一緒に最適解を見出していく、というのが、これまでも、今もいちばん苦労しているところですね。

その際私たちが気をつけていることは大きく二つ。一つは、現状のプロセスやそのなかでのデータの出自といった調査を徹底的に行うこと。もう一つは、調査結果は事実のみを詳らかに提示することにとどめ、ビジネス課題の抽出は現場に行ってもらうということです。業務内容に精通している現場が自らビジネスの方向性を策定することで、自走の道が開けると考えているからです。私たちの強みは、グループ各部署のデータや利活用のノウハウが蓄積され、それらをグループの他部署へ還元できることにあると考えています。そういった活動の継続が、サービスやサポート品質の充実、ひいてはデータ活用基盤のさらなる拡充につながっていくと考えています。

高橋 非常によくわかります。弊社はその立場上、Howの部分の専門家として参画することも多いのですが、データをもとに何をするかというWhatの部分、つまりビジネス目的の設定が重要であることは、弊社もお客様とのやりとりのなかで常日頃から強調しているところです。ちなみに弊社の製品のひとつである「Insight Governor」は、AIにより既存のデータ間の関連性を推定することでWhatの部分の策定の助けになる機能なども備えています。

片岡 確かにそれは便利なツールだと思います。現状がより可視化されるため、ビジネス側との伴走もしやすくなりそうです。まずはアジャイルにデータの紐付け候補を出し、足りないものは補完する、という具合に、スパイラルアップ型で進めるのが重要です。

大切なのは、データ活用基盤を提供したら終わりではなく、提供後こそがDX取り組みのスタートということ。活用度合いや成果確認をしながら評価・改善を進めていくことで、真に「使える」データ基盤と成り得ると考えています。

最先端技術も活用するアナリティクスCoE組織へ

高橋 グループ全体へのデータ活用基盤浸透に向けて、着実に歩みを進めておられることがわかりました。今後の課題や方向性についてもお話いただけますか。

片岡 PXは今後ますます加速していくと想定しています。今、「事業オペレーションのDX(PX1.0)」から、「お客様サービスのDX(PX2.0)」へフェーズチェンジが図られているなかで、私たちはデータの精度や鮮度をより高め、データ活用も未来予測型へとステージを変えて、現場の自走がより高められるよう注力していきます。

バックエンドのPXデータドリブン基盤は、先ほどお話ししたようにグループ全体での共通データ基盤を目指していますが、これを構築・浸透させていくためにはデータレイクに投入するデータのカタログを整備していくことが重要になります。お客様や業務のデータの正しさを判断できるのはITではなくビジネスですので、この部分はデータガバナンスという形で、IT部門というよりは事業会社の中で運営してもらわなければなりません。そういった業務運用設計とセットでの仕掛けを進めているところです。「データコンシェルジュ」のような人材を創っていくことも必要になってくるかもしれません。

高橋 弊社の肌感としても、データカタログの重要性をお客様から言われることは増えてきていますね。以前DWHが流行ったときもカタログの話は出ていましたが、データ活用が本格化してそれが復活したようなかたちです。関連する話で、弊社でも、LLM(Large Language Model)を使って名寄せ精度を高めたり、生成AIを使ってデータの類似レポートをつくったりといった試みを行っていますが、皆さんかなり関心をもっていただいています。

片岡 先ほどのツールの話もそうですが、AIと人力のハイブリッドな組み合わせが課題解決のスピードを加速する、という面はあると思います。例えばコンシェルジュや、それに近い人がAI技術を活用することで、よりデータの中身について「気付き」を得やすくなり、データ活用のイメージがしやすくなる、といった使い方です。

私たちとしては、これらのAI技術も活用しつつ、データアナリティクス分野におけるCoE(Center of Excellence)組織を目指して、グループ全体の事業部門のデータドリブン経営実現に向けて今後も貢献していきたいと考えています。AI関連などで機会がありましたらぜひ会話させてください。

高橋 エンタープライズ分野における、示唆に富むデータ基盤構築の話を伺えて大変参考になりました。100年以上続くパナソニックさんのものづくりの伝統とノウハウ、そこにデジタル技術を掛け合わせて日本の製造業の新章を切り開いていかれることを期待するとともに、私たちがその未来創造のお役に立てるとうれしく思います。

本日はありがとうございました。


高橋則行(たかはし・のりゆき)◎インサイトテクノロジー 取締役 CDO(最高開発責任者)。 東京工業大学在学中にデジタルアーツに創業期メンバーとして参画、上場後15年間役員を務めながらi-FILTER(累計売上300億円超)の開発・販売、海外事業の開拓にも従事。2020年よりインサイトテクノロジーの製品開発本部長、23年より取締役CDO(最高開発責任者)を歴任し、すべての製品開発を主導。プロダクト戦略の刷新やチーム増強を通じて製品ラインナップを2倍に拡大。

片岡栄司(かたおか・えいじ)◎ パナソニック インフォメーションシステムズ データ&アナリティクスソリューション本部 本部長。松下電器産業入社(情報システム部門)後、家電分野の販売・製造系システムエンジニア、 社内コンサルティング業務に従事(ITによる業務改革プロジェクトにて) 。2013年データ分析組織を立ち上げ、19年データ分析ソリューション事業部に、さらに22年データ&アナリティクスソリューション本部に改組した。

【インサイトテクノロジーについて】
1995年の創業時から一貫してデータベース技術を追究し、企業自らが良質なインサイトを得るためのデータ活用基盤「インサイト・インフラ」関連の製品をプロフェッショナルサービスとともに提供し、企業におけるデータの価値の最大化、データ利活用の統制、データガバナンスソリューションの導入に貢献している。同社が主催するデータ技術者向けカンファレンス「db tech showcase」には、世界中からデータ技術のエキスパートが講師として登壇し、毎年1,000名規模のエンジニアが参加する。

インサイトテクノロジー
https://www.insight-tec.com/

■Insight Governorについて
「Insight Governor」は、企業に散在しているデータを安全に統合・可視化し、迅速な意思決定を支援するためのDXインフラ整備ソリューションです。
https://www.insight-tec.com/brand/insight-governor/


■Qlik Replicateについて
「Qlik Replicate」は、異種データベースだけでなく、メインフレーム、SAP、Salesforceなどのデータを分析基盤などへリアルタイムに連携するレプリケーションソフトウェアです。
https://www.insight-tec.com/products/qlik-replicate/

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