米国が今、歴史に残る経済難にあることは否定できない。金利は高い水準にあるにももかかわらず、依然としてインフレは続いている。10月のインフレ率は前年同月比3.2%だった。持ち家はアメリカンドリームの最も重要な要素であることは間違いないが、住宅ローン金利の大幅な上昇により、住宅取得能力は記録的な低水準にある。住宅販売成約数も同様だ。
悲惨な状況のように聞こえるかもしれないが、筆者は最悪の時は過ぎたと楽観視している。痛みは一時的なものであり、希望が勝つ。
自力で成功して、夢を叶える億万長者たち
だが、私自身の経験から断言しているのではない。10月に発表されたフォーブス400では勇気づけられる傾向が見られた。現在の富豪の3分の2以上が、相続などではなく自力で富を築いている。この割合が半数以下だった1984年からすると、目覚ましい増加だ。驚くことに、今年は富豪の70%がゼロから富を築いている。自力で富を得た度合いを10段階で示した「セルフメイドスコア」で、最高の10点を獲得した富豪は29人に上る。これらの人々は、かつて最低必要な収入の基準以下で暮らしていたか、成功するまでに大きな苦難に直面した。スコアが10点の富豪には、ニューヨーク・ブルックリンの低所得者向け公営住宅で育ったコーヒーチェーン大手スターバックスのハワード・シュルツ元最高経営責任者(CEO)や、食品大手ドール・フード・カンパニーの元CEOで、一時ホームレスだった退役軍人のデビッド・マードックらが含まる。
米国の富裕層におけるこうした多様な経歴やストーリーは、アメリカンドリームの根強さを強調している。
マンガーのレガシーは生き続ける
疑念や不確実性が渦巻く時代にあって、マンガーの人生は、アメリカンドリームが過去の遺物ではないことを思い出させてくれる。アメリカンドリームは今も生きており、夢を持って懸命に働き、逆境を耐え抜く人々の手の届くところにある。深い絶望の淵から這い上がって富豪となり、金融界で尊敬される人物となったマンガーの人生は、米国にまだチャンスが存在することを大いに示している。マンガーのレガシー(遺産)と、成功を体現し続けている自力で富豪になった人々の生き様からインスピレーションを得よう。
(forbes.com 原文)