暮らし

2023.12.17 10:00

伊原六花、すべては「目の前にある壁を放置しない」ことから

俳優 伊原六花

いっぽうで、俳優という仕事については「演じる役ごとに壁がある」と話す伊原。今作の桂山キイナ役で、彼女が感じる「壁」は「大人っぽさ」だ。
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「今作では、シェアハウスのメンバー、役者さんみんな、同年代なんです。そのみんなより、ちょっと大人っぽさのある、女性らしさ……私の中では『桂山キイナ』は少し品があっていいのかなと考えていて。ただ、それが私自身とはかけ離れているというか(笑)。

落ち着きのある大人の女性を演じる機会がなかなかなかったので。いろんな仕草や目線の動かし方で、それを表現できたらいいな、と。今回は、普段の仕草からいろいろ変えてみたりしています。そこが私の中では1つ壁でもあり、楽しく挑戦しているところではあります」

じつはSDGsについて詳しくないわけではない。それは、レギュラーを務める関西の人気情報番組で、取り組みの現場を目の当たりにしたから。「とくに印象深かった」と話すのが、神戸の老舗ベーカリーが行っている、フードロス削減と社会的弱者支援を行う取り組み。
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「あるパン屋さんでは、大切に作ったパンを、売れ残ってしまうと廃棄せざるを得なかったそうです。それも、パンを踏んで、圧縮して捨てる……。その行為に大いに疑問を持たれて『このパン、どう使えばいいんだろう?』と、懸命に考えられたそうです。

そこで、廃棄されるパンのなかでも日持ちするものだけをまとめて、翌日少し安い価格で販売する。それを購入した人には、お店独自のコインがいただけて、そのコインでまた、違うパンが買える。さらに、同額のコインを福祉施設を介して支援対象者の方々にプレゼントもしている。

素敵な発想だなと思いました。また、その活動に賛同する人の輪が、どんどん広がっているというのを聞いて、私はグッときてしまいました」

そのほかにも、水産系廃棄物として年間数万トンも発生するホタテの貝殻を再資源化し、上質なヘルメットを作る町工場や、ホームレス状態にある人々の就労や路上生活脱却を支援する団体なども巡った。

「そういう活動をされている方たちは、いま、目の前にある壁を放置しない、常態化させないために、誰かのために何かできることはないかと、本当に懸命に考えていらっしゃるんです。実際にお会いしてお話をうかがうと、皆さん本当にパワフルだし、イキイキされていて。ああ、なんかいいな、私も何かしなくちゃって、思わせてくれるんです」

持続可能な社会を阻むいくつもの壁。私たち一人ひとりがその壁を乗り越えるために思いを巡らせ、そして挑戦すること──。それこそが、SDGsの大切な第一歩なのかもしれない。


伊原六花◎大阪府立高校のダンス部キャプテン時代に「バブリーダンス」が話題となり、2018年にTBS「チア☆ダン」でデビュー。2021年テレビ東京「どんぶり委員長」などの話題作に出演。2023年Disney+「シコふんじゃった!」でヒロインを務め、現在はNHK連続テレビ小説「ブギウギ」、TBS「マイ・セカンド・アオハル」は主要登場人物の1人「桂山キイナ」を好演している。

文=仲本剛 写真=秋倉康介 撮影場所=ITOCHU SDGs STUDIO

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