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宇宙

2023.12.05 17:30

「生命のルーツ」が地球外の深宇宙で形成された可能性 最新研究

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した、太陽系に近い星形成領域「NGC 1333」。距離約960光年の「ペルセウス座分子雲」の内部にある(NASA, ESA, STScI)

生命の誕生に不可欠な構成要素が、恒星や惑星とともに星間空間で形成された可能性があるとする、化学者チームによる最新の研究結果が発表された。生命の原材料物質は、これまで科学者らが考えていたよりもはるかに昔に形成されていたかもしれない。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いて、星や惑星が形成されている領域を対象に、生物の発生を可能にする前生物的分子の探索を行うべきだと、今回の研究は示唆している。

地球の生命

NASAによると、生命には化学元素(炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄)と液体の水とエネルギー源が必要になる。地球の生命誕生は約38億年前にさかのぼり、最古の化石は約35億年前のものだ。生命の構成要素となる炭素系分子の1つにアミノ酸があるが、これは初期の地球で形成された可能性があるとする説がある。だが、今回の最新研究は、それとは異なる起源を示唆している。

星間空間の探索

米国化学会(ACS)発行の学術誌ACS Central Scienceに11月29日付で掲載された、今回の研究をまとめた研究論文は、最も単純なアミノ酸であるカルバミン酸(NH2COOH)が、星間物質の内部で星や惑星とともに形成された可能性があることを示唆している。

この結論は、研究室での化学実験から得られたものだ。研究チームは、遠方の宇宙空間にあるアンモニアと二酸化炭素を含む氷粒のモデルを作製した。氷粒をゆっくりと温めると、カルバミン酸とカルバミン酸アンモニウムが生成された。これらの分子は、より複雑なアミノ酸、すなわち生命の構成要素に変化する可能性がある。

これは、カルバミン酸とカルバミン酸アンモニウムが、星形成の最も初期の、最も低温の段階で形成された可能性があることを意味している。研究チームはまた、この2つの分子が結合して気体を生成する可能性があることも発見した。

地球外の起源

今回の研究結果は、地球上の生命の構成要素が地球外の起源を持つことを示唆する他の研究結果と一致している。すべては生命の原材料物質だ。Space.comで報じられたところによると、4月には、地球から約1000光年の距離にある、若い星団とガスからなるペルセウス座分子雲で前生物的分子が発見された。

これらの研究結果は、生命の構成要素の起源が地球外にあり、何らかの方法で地球に到達したとする説を後押しするものだ。

彗星衝突

長い年月にわたって小惑星や彗星が地球に衝突し、地球の水をすべて運んできたとする長年の定説がある。前生物的分子も、そのようにして地球にたどり着いたのかもしれない。2022年には小惑星リュウグウで未変性のアミノ酸とビタミンB3が発見された一方、彗星にはシアン化水素が存在すると考えられている。

最近の論文では、惑星系内を転々と移動する低速の彗星が、生命に不可欠な物質を銀河のあちらこちらに拡散させている可能性があることが示唆された。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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