この元研究員は、メディア操作とオンライン上の過激主義の専門家であるジョーン・ドノバン。非営利団体「ホイッスルブロワー・エイド」はドノバンの代理人として、248ページからなる文書を米教育省とマサチューセッツ州検事局に送付し、調査の開始を求める申し立てを行った。この申し立てについては、米紙ワシントン・ポストが最初に報じた。
申し立てによると、2018年から同大の公共政策大学院であるハーバード・ケネディ・スクールに勤めていたドノバンは、メディア操作を調査するプログラムを率いていたが、同プログラムは今年8月に閉鎖され、ドノバンの雇用も打ち切られた。
同大は2021年、ザッカーバーグと妻のプリシラ・チャンが設立した慈善団体「チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ」から人工知能(AI)研究費用として5億ドルの寄付を受け取った。ドノバンによれば、大学はその後、メタから同年に流出したコンテンツモデレーション慣行についての内部文書「フェイスブック文書」の研究に圧力をかけ始めた。
ドノバンは、同団体による寄付後、自分の研究に対する大学の扱いが「一夜にして変わった」と主張。「私たちの研究は、ハーバードの誇りから、恥へと変わった」と述べている。
一方、ハーバード・ケネディ・スクールの広報担当者ジェームズ・フランシス・スミスはフォーブスに送付した長文のコメントで、ドノバンの主張を強く否定。「ドノバンの主張は、当校がフェイスブックに研究のアプローチを指図させることを許したというものなど、不正確で根拠のないものばかりだ」と述べた。