宇宙

2023.12.04 12:30

NASAの2025年有人月着陸が延期の可能性、スペースXなどの開発遅延で

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米国会計検査院(GAO)は11月30日、スペースX社とアクシオム・スペース社による主要技術の開発の遅れによって、2025年に有人月面着陸を実現するというNASAの野心的な計画が「非現実的」になり、待望のアルテミス3号のミッションの実施が2027年にずれ込む可能性が高いと新たな報告書で述べた。

報告書によると、NASAの計画は進歩を遂げているものの、アクシオム社が開発中の次世代宇宙服とスペースXが開発中の有人着陸システムの完成は、2025年12月に予定される打ち上げに間に合わない見通しという。

イーロン・マスク率いるスペースXは、軌道上の有人着陸システムに推進剤を送り込み、貯蔵するテクノロジーの開発に苦戦しており、2027年初頭の打ち上げのほうが「より可能性が高い」と同報告書は述べている。

GAOはまた、アクシオムの次世代宇宙服の開発プロジェクトに、緊急時の生命維持の要件を満たすための「重要な作業」が残されており、この宇宙服がまだ「開発の初期段階」にあると述べている。

NASAは次世代宇宙服の開発に向けて2億2850万ドル(約335億円)の契約を2022年9月にアクシオム社と結んでいた。また、スペースXとは、着陸システムの構築に向けて29億ドルの契約を2021年4月に結び、2回目の有人ミッションに向けて昨年11月に11億5000万ドルの追加契約を結んでいた。

NASAが2012年に始動したアルテミス計画は、1972年以降で初めて宇宙飛行士を月面に送り込むことを目的とするプロジェクトで、長期的には、火星への有人ミッションを視野に入れ、月に恒久的な基地を設置することを目指している。昨年11月に打ち上げられたアルテミス1号は、25日半をかけて月を周回し、地球への帰還に成功した。

最初の有人飛行であるアルテミス2号の打ち上げは2024年末に実施され、宇宙飛行士が月を周回して、アルテミス3号のための着陸候補地を調査する予定とされている。

NASAは当初、2028年に有人月面着陸を実現する目標を掲げていたが、2019年にホワイトハウスはその計画を前倒しさせ、2024年までに実現させるよう指示した。しかし、NASAは2021年に、このミッションが2025年以降になると発表し、今年7月には有人着陸システムのスケジュールを「再検討している」と発表した。

NASAは、2012~2025年にかけて、アルテミス計画に930億ドルを費やすと見積もっている。今回報じられたプロジェクトの遅延が、コスト面でどのような影響をもたらすかはまだ不明だ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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