株価を上げている企業の共通項
企業価値を上げるには、事業が高い成長率を維持できているのが一番の理由だと河端氏は語る。「私がこの資本主義市場でまず何をしたかというと、株価も高いし事業成長率も高い会社の社長や、事業成長率は高いけども株価が割安な会社の社長など色々な人に会いに行きました」沢山の上場企業経営者と会う中で、同氏はある4つの共通項を見出したと言う。事業の成長率が高い企業の特徴は、(1)M&Aに長けている。(2)IR活動をコツコツと行う。(3)株式市場を理解している。 (4)トレンドと関わっている。以上4つが事業成長率の高い企業の特徴であると分析した。
「まず一つ目に、事業の成長率が高い会社は確実にM&Aに長けている会社です。上場企業が高い成長率を維持するためには、オーガニックとM&Aを組み合わせていかなければならない。ただM&Aも高値掴みしないことや、のれん負けをしないこと、買った後の高いシナジー効果などといった様々な要素を考えることが大事です。しかし、IRでどんなに良い成績を出していても、誰にも知られていなければ意味がありません。まずコツコツとIRをすること。今のマーケットがどういうことを求めていて、どういうことだったら興味を持ってくれるか、マーケットのトレンドをしっかり掴むことが大事です」
それはつまり株式市場を理解することに繋がっていく。最後に株価を上げている企業の共通項は、トレンドに鍵があると河端氏は言う。時価総額100億を切っている会社であれば、機関投資家が入る可能性は低い。そのため、まずリソースのほとんどを個人投資家に注ぐべきであるそうだ。個人投資家が説明会で興味を引いてくれるよう、世界のトレンドと会社の関わりを理解してもらうことが大事である。
プログラミング言語は世界共通。河端氏が見据えるシンガポールでの挑戦
河端氏は今、海外IRを強化している。その理由の一つとして、日本経済を大型マクロで見ると円は弱くなるからだ、と同氏は言う。「インフレが起こった場合、政府は賃金を上げに行くでしょう。賃金が上がり、人の流動化も増える。この流れが私たちのビジネスにおいて非常に追い風になると思います」
ここでエンジニアの価値向上における鍵は、外貨を稼ぐ力だ。実はエンジニアは外資獲得において優位な立場にある。なぜならプログラミング言語は世界共通であり、リモートで働ける環境が揃っているからだ。河端氏は海外企業と国内エンジニアのマッチング実現に向けて、精力的に海外での事業開発を行っている。
同氏が特に注目している国はシンガポールだ。
シンガポールは世界屈指の人口密度を誇る都市国家で、面積わずか700平方キロメートルほどの国土に560万人以上の人々が暮らしている。広さにして、東京23区ほど。さらに、シンガポールは平坦で保水能力が乏しい土地のため、貯水池を多く必要とするほか、国土防衛のために軍用地も確保しなくてはならない。このように、実際の人口に対して使える国土面積の比率は少なく、世界屈指の人口密度を誇ると言われる。そのため求人のマーケットが大きいのだ。
そして海外の大企業といった支店を数多く構えている点も、営業効率が非常に良く、またシンガポールは金融大国と言われるほど機関投資家も多い。海外の投資家や機関投資家は金融に非常に精通しており、彼らの精通している情報から自社が伸びる事をいかに説明するかが非常に大事であると、河端氏は言う。やはり同氏の心構えは、高い成長率を出していくことにある。常にトップラインに居続け、増益を続ける。今後インフレを追い風に、正しい打ち手でステークホルダーの満足度をしっかりと取っていく。そんな未来を河端氏は見据えている。
連載:拝啓、次世代の起業家へ。
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