さらに2024年10月14日には、約1キロメートル離れた工場跡地に通販大手の「ジャパネットホールディングス」が手掛けるスタジアムを軸にした複合施設も立ち上がる。その柿落としとして、長崎市出身のシンガーソングライター、福山雅治さんがライブコンサートを行うことも決まった。
「100年に一度の変革」などと期待されるこの長崎市内の再開発。背景には若者の県外流出に対する強い危機感がある。
総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によれば、2022年の同市内への転入者の数は1万732人だったのに対し、転出者は1万3040人。差し引き2308人の「転出超」となっている。2013年以降の10年間を見ても「転出超」が続いており、2019年にはその数が2887人まで膨らんだ。
県全体でも長崎は2022年の転出超の数が5219人と九州や沖縄の各県で最も多い(福岡県は「転入超」)。「若者の雇用の受け皿が乏しいため」(長崎の地元企業幹部)との見方が支配的だ。
長崎市内の再開発を通じて若年層を中心とする人口の流出に歯止めをかけることができるのか。「アミュプラザ長崎 新館」の運営会社である「JR長崎シティ」の赤木征二社長に聞いた。
本館は日常使う場所、新館はハレの場所
──新しい商業施設のターゲットはどんな層になるのか?コンセプトは「ニュームード」。すでに2000年にオープンしている「アミュプラザ長崎 本館」は母と娘の取り込みを見据えていたが、新館は「フルターゲット」で幅広くファミリー層なども集客したい。
家電ではエディオンが入居、ユニクロ、GUなどファストファッションの店も入った。コスメや雑貨も充実。86の店舗のうち、長崎県初となるテナントが半分近くを占める。「本館は日常使う場所、新館はハレの場所」という住み分けだ。
内装や外装は「長崎らしさ」にこだわった。レンガ造りのファサードは造船のイメージ。駅舎とデザインを統一した。入口には長崎名物のステンドグラスの装飾。年明けに開業予定のマリオットホテルの屋上には室外機がない。市街地西方に位置する標高333メートルの稲佐山から見える夜景に配慮したからだ。