同番組は、ドラマの中核にあった「富裕層による貧困層の搾取」というテーマから意図的に逸脱し、参加者の死のリスクも排除して、視聴者数を稼ぐためのありふれた一攫千金番組と化している。この皮肉は誰の目にも明らかであり、実に滑稽だ。だがその点はさておき、この番組は少なくとも優れたエンターテインメントとなっているのだろうか?
リアリティ版は、ドラマのセット、小道具、衣装を忠実に再現してはいるものの、オリジナル作品が持っていた緊張感はまったくない。参加者が命を懸けているわけではないので、単に見た目がユニークな、つまらないリアリティ番組となっている。もちろん、参加者に危険なゲームをさせるべきだと言いたいわけではない。言いたいのは、ドラマが成功した理由となった「いつ訪れるかわからない残忍な結末」という要素がないため、リアリティ版は味気ないものになっているということだ。
「だるまさんがころんだ」や「型抜き」などのゲームでは、ドラマをまねるため、参加者が脱落すると胸にある黒い「血」の詰まった装置が爆発するという仕かけは、若干おもしろおかしく、滑稽でもある。さらに、参加者はこれが爆発すると死んだふりをしてその場に倒れるように指示されており、間抜けさがさらに増している。
小さなミスや悪運が命取りになるという設定は、ドラマではスリリングだが、リアリティ版では退屈だ。最初のゲームである「だるまさんがころんだ」で脱落した約200人が全員、本当に体を動かしてしまったとはとても思えない。また、ドラマでは登場しなかったリアリティ版オリジナルのゲームは、奇妙だ。ボードゲーム「海戦ゲーム」を巨大化したセットで、参加者自身が駒となって戦うものがあったが、このゲームではしばしば、テクニックや戦略は関係なく、純粋な運で勝敗が決まる。こうした運任せのゲームはドラマでは効果的かもしれないが、リアリティ番組ではそうではない。