リアリティ版『イカゲーム』 ドラマの魅力生かせず退屈な出来に

Rokas Tenys / Shutterstock.com

リアリティ版では、参加者が生活スペースで過ごす時間を退屈なものにしないため「テスト」が追加された。テストの内容は例えば、参加者のうち2人に、匿名で他の参加者を脱落させるか、逆にアドバンテージを与えることを選ばせるといったものだ(もちろん、この選択肢を与えられた参加者は、誰かを脱落させることを選ぶ)。あるいは、突然鳴り始めた電話に出た参加者に、2分以内に他の誰かに電話を代わらせなければ失格となると宣告するようなものもある(もちろん、電話に出た参加者は必死な様子でほかの人に電話を代わらせようするため、誰も応じようとはしない)。
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私がこれまで見た部分で一番おもしろかったのは「型抜き」のゲーム冒頭で、参加者が4列に分けられ、それぞれの代表者である4人が自分の列に与えられるカルメ焼きの形を全会一致で選ばなければいけないという奇妙なシーンだ。

誰もが、型抜きが難しい「傘」の形を避けようとするのだが、最終的には、屈強ないじめっ子タイプの参加者が、押しの弱い参加者に傘を押し付ける。結果、傘を与えられた列は、全体の90%が脱落してしまう。ただ、おもしろかったこのシーンも、数時間の視聴時間のうちの10分程度に過ぎない。

本作がネットフリックスのリアリティ番組で最低の出来ではないことは確かだが、だからといって褒められたことではない。この番組は根幹の部分で、意図的にオリジナルドラマのポイントを改変していることは明らかだ。ドラマからフィクションと死を取り除いたことで、『SASUKE』の海外版である『Ninja Warrior』や、米国で吹き替え編集版が放送されて人気が出た『風雲!たけし城』と比べても1割程度のおもしろさしかない出来となっている。
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とはいえ、この番組は多くの人に視聴され、何シーズンも続くだろう。すでにセットはできているので、新シーズンを撮影するには456人を新たに集め、新しいゲームやひねりを加えるだけで済む。ネットフリックスは、たとえひどい出来の番組であっても、誰かが見ている限りは資金を投入してきており、『イカゲーム: ザ・チャレンジ』の継続は確実だろう。同番組はどういうわけだか、視聴者を獲得している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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