レオパルト1A5を運用している主要な軍隊のひとつであるブラジル軍は、装甲の薄いこの戦車は木々や丘の陰に隠すよう乗員を訓練している。ブラジル軍のアドリアーノ・サンティアゴ・ガルシア大尉は2020年、米陸軍の戦車専門誌アーマーで「カモフラージュ(偽装)の活用」と「地形の適切な利用」が重要だと強調している。
最近の報道によると、第44旅団の戦車兵も、レオパルト1A5が大きなダメージに耐えられるようには設計されていないことを理解しているようだ。ビタリーという乗員はレオパルト1A5の最も優れた点として、その光学機器で最大5kmほど先の目標に照準を合わせられることを挙げている。
レオパルト1A5のライフル砲の射程は約3.5kmある。ロシア軍の戦車の技術では「わが軍と長射程の撃ち合いはできない」ともビタリーは述べている。
言うまでもなく、榴弾(りゅうだん)砲の射程は3.5kmを超える。したがって、レオパルト1A5は戦車としては射程が長いといっても、榴弾砲などの集中砲撃を受ければ対抗しようがない。レオパルト1A5が砲撃を生き延びる唯一の確実な方法は、砲手のために目標を探すドローンに見つからないようにして、砲撃を避けることだ。
もちろん、埋設された地雷を避けるのはもっと難しい。
今回、レオパルト1A5の乗員がなぜ戦車を砲撃にさらすような場に置いたのかは、当時の状況が完全にわからない限り判断しにくい。とはいえ、仮に一時的だったとしても、レオパルト1A5の初めての損失は、この戦車の弱点をあらわにしたとは言えるだろうし、同時にその長所もあらためて明確になったと言えるだろう。
第44旅団をはじめ、レオパルト1A5を運用するウクライナ軍部隊は、この戦車を短期間にあまりに多く失ってしまわないように、隠蔽された場所で戦い、移動も地形を利用してうまく隠れるか、あるいはもっといいのは暗闇に紛れて行うようにすることが求められる。
(forbes.com 原文)