28日にワシントンD.C.で開催されたアクシオスの「AI+」サミットで講演したシュミットは「コンピュータが自分で物事を決定できる段階までテクノロジーが到達すれば、5年から10年以内にAIが人類を危険にさらす可能性がある」と警告した。
「以前はこの段階に達するためには20年程度が必要だと考えられていたが、一部の専門家はこのシナリオは2~4年程度しかかからない可能性があると見ている」とシュミットは述べた。
2001年から2011年までグーグルのCEOを務めたシュミットはまた、政策立案者に正確な情報を提供し、テクノロジーを効果的に規制するための世界的な組織が必要だと訴えた。
9月の非公開のAIフォーラムには、ザッカーバーグやマスク、ビル・ゲイツを含むテック企業の経営者らが集まり、ザッカーバーグはAIの安全性とアクセシビリティ政策の必要性を強調した。
CNBCによると、マスクはサミットの終了後に記者団に対し、AIは「文明リスク」をもたらすが「我々全員を殺す可能性は低い」と語ったという。彼はまた、以前にOpenAIのCEOのサム・アルトマンが提唱した、AIを規制するための連邦機関の立ち上げを訴えた。
シュミットは、AIの開発を第二次世界大戦後の核兵器規制になぞらえ「長崎と広島の後に、部分的核実験禁止条約(PTBT)を結ぶまでに18年がかかっていた。現在の私たちに、そのような時間はない」と語った。
AIの危険性について警告を発しているにもかかわらず、シュミットは、この技術がほとんどの人々に利益をもたらすだろうと述べている。マイクロソフトの共同創業者であるゲイツも、AIが社会に与えるインパクトを称賛しており、ここ数カ月で「驚くべき」成果を目にしたと述べている。
フォーブスは、2010年にベンチャーキャピタルのイノベーション・エンデバーズを共同創業したシュミットの保有資産を201億ドルと推定している。
シュミットはここ数カ月、AIの発展について批判的な見解を示しており、5月には、このテクノロジーによって人々が「傷つけられたり、殺されたり」する可能性があり「実存的リスク」をもたらすかもしれないと述べていた。2015年から2017年までアルファベットの執行会長を務めた彼は「米国政府は、この新たなテクノロジーに対する備えができていない」と結論づけた2021年の米政府の委員会のAIに関する報告書にも関与していた。
OpenAIが昨年秋にChatGPTをリリースし、グーグルを含む他社がそれに続くチャットボットをリリースしたことで、AIの規制を呼びかける声がここ数カ月で高まっている。バイデン大統領は先月、AIのリスクを抑制することを目的とした大統領令に署名したが、そこでは、最新のAIシステムの一般公開に先立ち、政府による安全性評価を受けることが義務づけられた。
(forbes.com 原文)