幸福度と生産性の関係はかなり直感的だが、この2つの直接的なつながりを切り分けて考えるのはもっと難しい。これを困難にしている一因は、幸福度と生産性の定義が一貫していないことだ。しかし、どうにかして幸福度を測定しようとする企業も多く、定義がなければ2つの概念を結びつけることは不可能である。
なぜ幸福は生産性を高めるか
この研究では、幸福が生産性を向上させる理由として考えられる可能性を理論化した。重要な点は、幸福な労働者がより長時間働いたため生産性が上がったわけではないことだ。むしろ、単に幸せであるがゆえに、より良いパフォーマンスを発揮するようになったのである。考えられる理由の1つは、幸せな労働者は時間の使い方が上手で、スケジュールやToDoリストを常に把握し、きちんとこなせるということだ。2つ目の理由は、機嫌がよいと仕事がはかどるからである。3つ目の理由は、機嫌がよい時の方が効率よく営業電話を売り上げにつなげられるからだ。
3つ目は営業職に特有の理由ではあるが、職種を問わず全体として、機嫌がよければ協調性が向上する可能性は高い。ネガティブな感情が協調性を低下させることがわかっているのだから、その逆もまた然りであって当然なのだ。幸せな人ほどよく笑うため、友好的でオープンな性格だと思われやすいというのもあるかもしれない。
職場の幸福度とウェルビーイングへの投資
最高人事責任者や人事部の上級職にとってこうした研究は、ウェルビーイング関連の重要プロジェクトへの投資企画書を作成する際に欠かせない定量データを提供する。まず始めるべきは測定である。ウェルビーイングを測定するのは難しいと思われがちだが、そんなことはない。職場における現在の幸福度とウェルビーイングの水準を測定すれば、どのようなウェルビーイング介入策が必要かを把握するための重要な基準が得られる。仕事は不幸の原因になることもあれば、喜びをもたらすこともある。別の研究では、有給労働は1日の中で最も不快な活動であることが明らかになっている。つまり、企業は出社を喜びの源にする絶好の機会を握っているということだ。
(forbes.com 原文)