バーンスタインのトニー・サコナギらは、テスラとBYDの収益や販売台数、利益が同程度であることを考慮すると、この2社の時価総額のギャップは「大きすぎる」と指摘した。テスラの時価総額は、27日時点で約7300億ドル(約108兆円)で、BYDの時価総額は840億ドルとなっている。
テスラは年初来で減益となったにもかかわらず大幅な株価上昇を遂げている。一方、BYDは今年、純利益を2倍以上に伸ばしたにもかかわらず、株価はわずか12%の上昇にとどまっている。テスラの株価の上昇は、自動車以外の分野での同社の成長力に対する市場の楽観的な見方に支えられているが、バーンスタインは、現状のテスラの株価が高すぎると指摘している。
テスラに対し、一貫して最も弱気な見方を続けるバーンスタインは、現状で約236ドルのテスラの目標株価を150ドルとし、約40%の下落を見込んでいる。一方、現状で約29ドルのBYDの目標株価を46ドルとし、約60%の上昇を示唆している。
「ファンダメンタルズに基づけば、テスラとBYDのバリュエーションは、乖離するよりも収束する可能性の方が高い」とサコナギは述べている。
一方、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、香港証券取引所に上場するBYD株の8%を保有しているが、過去15カ月間で出資比率を大幅に引き下げている。
2023年第3四半期におけるテスラのEVの世界販売台数は4億3500万台で、BYDの4億3200万台を僅差で上回った。しかし、両社の売上高と純利益にはより大きな隔たりがあり、テスラの年初来の売上高が720億ドルで純利益が71億ドルであるのに対し、BYDの売上高は590億ドルで、純利益は30億ドルとなっている。
中国はテスラにとって極めて重要な市場であり、今年の全収益の22%を占めている。一方、中国での市場シェア争いはテスラに多くの車種の値下げに拍車をかけており、利益を求める投資家から不評を買っている。
テスラに対する強気な見通しの多くは、同社の中核事業であるEVへの楽観論からではなく、バッテリー充電や議論を呼ぶ自動運転テクノロジーなどの他の取り組みが将来の成長を牽引するという見方からきている。
テスラへの投資判断を「買い」とするカナダの投資銀行カナコード・ジェニュイティのジョージ・ギアナリカスは先月「長期的には、テスラのAIは過小評価されていたことになるかもしれないと」と述べていた。
(forbes.com 原文)