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2023.11.29 08:30

ChatGPTを追撃する「Pi」の開発元、インフレクションAI創業者の思い

このようなベンチマークは、AIの専門家以外にはあまり意味がないように思えるかもしれないが、わずかな改善が「信頼できる高品質なモデル」につながるとスレイマンは語った。Inflection-2の性能は、全体として「GPT-4に非常に近いグレード」で、現状のサイズでは「クラス最高と言える」とスレイマンは主張した。

一方、OpenAIの騒動の最中で、彼は関係者に「共感と寛容さ」をもって接するよう呼びかけていた。「OpenAIには、数多くの善意を持つ人々が関わっている」とスレイマンは述べたが、それは特に、同社の共同創業者のイリヤ・サツケバーのことを指す発言だった。サツケバーは、アルトマンを解雇した取締役の1人で、その決定を後悔していると述べていた。

OpenAIの混乱に寄せる思い

スレイマンは、2014年にグーグルが買収したAI企業DeepMindの共同創業者で、サツケバーは2011年当時に、DeepMindの契約社員としてスレイマンの下で働いていた。「彼は、優れたエンジニアであると同時に、非常に信義に厚い、誠実な人だ。彼とOpenAIの他のメンバーからは、純粋に善意が感じられる」とスレイマンは語った。

スレイマンは、以前からAIの安全性について積極的に発言しており、7月にバイデン大統領がAI分野の7社をホワイトハウスに招いて発表した「責任あるAI開発」に向けての取り組みにも署名していた。彼はまた、Piに選挙関連の質問に答えさせたり、政治キャンペーンの資料作成に参加させたりしないことを誓っている。スレイマンは最近、AIのリスクについて詳述した『The Coming Wave』という著書を出版した。

彼は、テック業界の一部から批判を浴びたOpenAIの騒動について「そこには明らかに、非常に大きな間違いがありました」と語った。「私は、人々がより寛容になり、今回の騒動がOpenAIが新たなガバナンス構造の下で、より良い方向に向かう上での小さな出来事だったと記憶されることを願っています」とスレイマンは述べた。

とはいえ、スレイマンもまた資本主義の下で他社と競争する企業の経営者だ。OpenAIがつまずいたことは、少なくとも一定の期間、ライバルに多くの機会を与えることになったのではないかとの問いかけに、彼は異論を唱えなかった。

「私もまた、ビジネスを構築している起業家の1人です。そして今、シリコンバレーは、ここ数年で最も競争が激しく、クリエイティブな時代を迎えています」とスレイマンは語っている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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