暗号資産

2023.11.29 16:30

韓国のWeb3業界最前線!韓国のWeb3ビジネスはどこへ向かうのか?

井関 庸介
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吉川:23年、日本政府はステーブルコインに対する明確な規制フレームワークを確立しました。韓国でも同様の動きはありますか?

キム:規制については日本とは異なり、韓国にはまだステーブルコインのフレームワークがありません。しかし、CBDC(中央銀行デジタル通貨)と地方通貨のブロックチェーン導入を積極的に推進しています。「地方通貨」とは、地元の経済を刺激するために特定の地域で使用される通貨のことです(韓国ウォンに1:1でペッグ)。多くの韓国人が活用しており、私もその一人です。特に、韓国最大の地方通貨プラットフォームをもつ仁川では、その地方通貨のシステムをより透明かつ効率的にするために、ブロックチェーンの採用を推進しています。

吉川:キムさんが今、最も関心があるWeb3、または暗号資産の技術的な動向は何ですか?

キム:Web3のマスアダプションの最大の障壁は「UX(ユーザー・エクスペリエンス)」です。私はアカウント抽出化のようなUXベースのテクノロジーに興味をもっており、これにより既存のユーザーがいっそうブロックチェーンにアプローチしやすくなります。また、ほとんどのユーザーはサービスを利用する際にブロックチェーンのガス代(手数料)を支払いたくないので、ガス代委任機能も必要です。しかし、UXが向上するにつれて、セキュリティの問題が前面に出てくるため、関連するセキュリティ技術にも興味をもっています。

吉川:最後の質問です。キムさんは韓国のWeb3の未来について楽観的ですか?

キム:私は韓国市場に非常に楽観的です。韓国人は、90年代後半のインターネット誕生時に示されたように、常にイノベーションに対して情熱をもっています。「Nexus: The Kingdom of the Winds(風の王国)」という世界最古のMMORPG(大規模多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム)、世界初のアバターサービス「Say Club」、世界初のゲームアイテム交換所「ItemBay」、そして「Cyworld」と呼ばれるソーシャルメディアで使用された世界初の商業的なサイバーマネー「dotori」など、先駆的なサービスはすべて韓国で開発されました。

韓国のインターネットサービスの第一世代は、メタバース、暗号資産、そしてNFTマーケットプレイスを含む、今日のWeb3の特徴をすでに有していました。つまり、メタバース、デジタルアセット、そしてNFTマーケットプレイスのプロトタイプはすべて韓国で始まったともいうことができます。なので、韓国はWeb3の分野でも卓越すると信じています。

文=吉川絵美

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