中国・吉利汽車の高級EVブランド「ZEEKR」、米国IPOを画策中

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中国の大手自動車メーカーである吉利汽車(Geely Automobile)の創業者のエリック・リー会長は、自社の株式やスウェーデンのボルボ・グループ、英国のアストンマーティンなどへの自動車メーカーへの出資により、140億ドル(約2兆円)の資産を築いている。その彼は、吉利汽車の高級電気自動車(EV)ブランド「ZEEKR(極氪)」をニューヨーク市場に上場させることで、さらに17億ドルの資産を追加しようとしている。

吉利汽車の高級EV部門のZeekr Intelligent Technologyは11月10日、ニューヨーク証券取引所への上場に向けた目論見書を、米国証券取引委員会(SEC)に提出した。リーは、同社の株式の13.2%を保有している。

2021年3月に吉利汽車の子会社として設立されたZEEKRは2月に、中国のバッテリー大手の寧徳時代新能源科技(CATL)と政府系のGuangzhou Yuexiu Industrial Investment Fundを含む投資家から7億5000万ドルを調達し、その際の評価額を130億ドルと発表していた。

同社は、上場の規模や時期の詳細を明らかにしていないが、関係筋によると、調達額は以前の目標の10億ドルを下回る見通しという。それでも、地政学的緊張や中国政府による広範な産業への監視が経済に打撃を与える中、ZEEKRの上場は、中国企業による米国市場への上場として近年最大級のものとなりそうだ。

直近では米中関係がいくらか緩和される兆しがあることはさておき、ZEEKRはEVセクターに対する投資家の熱意を取り込みたいと考えている。同社は現在、約2万6000ドルから約8万ドルの価格帯で、5人乗りのハッチバックの「ZEEKR 001」と6人乗りのMPVの「ZEEKR 009」、SUV「ZEEKR X」の3モデルをラインナップしている。

上海のコンサルタント会社Automotive Foresightのエール・チャンは、ZEEKR が同じ市場セグメントで競合するライバルとの熾烈な価格競争に直面していると指摘する。しかし、同社は吉利汽車と緊密な関係にあるため、品質管理やサプライチェーンに関しては有利であるとも述べている。

2023年上半期の、ZEEKR の売上高は前年同期比で2倍以上の213億元(約29億ドル)に増加したが、損失も前年の4億2300万ドルから5億3400万ドルに拡大した。目論見書によると、同社の10月の販売台数は1万3077台で、9月の1万2053台や8月の1万2303台を上回った。

ZEEKRは、中国本土以外では香港やマカオ、ヨーロッパでの事業拡大を目指している。しかし、同社自身も、新規の市場参入者としての「重大な課題」を警告している。また、中国政府は同社の事業に対して「実質的な影響力を行使」しており、中国当局が規制、政治、社会的目標を推進するために同社の事業に介入する可能性があるとしている。

ZEEKRはさらに「中国政府は最近、海外での証券募集やその他の資本市場活動を監視し、当社のような中国に本拠を置く企業への外国投資に対して、監督と管理を強化する意向を示している」と述べ「もしこのような措置が取られれば、当社の株式の価値は毀損する可能性がある」と付け加えている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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