俯瞰すると、ロシアがウクライナに侵攻してからの最初の1年半で7万人のウクライナ兵が死亡し、ロシア兵は12万人死亡したと米紙ニューヨーク・タイムズは8月に報じている。つまり、月平均で約3900人のウクライナ兵と6700人のロシア兵が亡くなっていることになる。
だがこの死者数は長さ965kmにおよぶ戦線全体のものだ。10月には、現在も続くアウジーイウカへの攻撃だけで3000〜4000人のロシア兵が死亡した。
衝撃的なロシア軍の損失は最終的には問題ではないかもしれない。「ロシアの上層部は、わずかな領土獲得のためなら多大な人的損失を厭わない姿勢を示し続けている」と英国防省は説明した。
東部バフムートへのロシア軍の昨春の攻撃で明白になったのは、何千人もの兵士を死に追いやっても構わないという姿勢と、ロシアの社会がこの惨事に異議を唱えようとしない姿勢だった。この戦いでもロシア軍は何千人もの兵士を犠牲にした。だがロシア軍は粘り強く戦い、最終的に廃墟と化したバフムートを制圧した。
しかし、ロシア軍がバフムートで費やした戦闘力は、他の戦地に展開できたはずのものだった。この夏、数で劣るウクライナ軍が南部でロシア軍の防御を突破し、いくつかの重要な集落を解放することができたのには理由がある。あちこちに築かれたロシア軍の要塞はどれも手ごわかったが、ロシア軍の兵力は偏在していた。
同様に、ロシア軍がアウジーイウカへの破滅的な攻撃で大隊全体を失っていた時期に、ウクライナ軍の海兵隊が南部ヘルソン州のドニプロ川を渡ることができたのにも理由がある。ロシア軍はドニプロの前線を強化できたはずだった。だが、ロシア軍の兵士らはアウジーイウカ郊外で次々と死んでいた。
(forbes.com 原文)