2. AIによる監視の強化は人間の思考プロセスを根本から変えるかもしれない
人は誰かに見られていると行動を変える。2016年の研究によると、米国家安全保障局（NSA）の監視体制についてエドワード・スノーデンが暴露した後、ウィキペディアでは特定のテロ関連用語の検索数が著しく減少したことがわかった。この変化をもたらした要因は、訴追されることへの恐れではなく、自己検閲だった。これは、監視されているという意識によって行動の根本が変化したことを示している。このような行動変化が生じるのは、許容される範囲の境界線と、それを越えた場合の罰則の厳しさがわからないためだ。
AIによるマインドリーディングによって、この傾向がいっそう強まることもあり得る。自分の最もプライベートな思考が筒抜けになる可能性があると知れば、一人ひとりの行動や考え方は大きく変容し、個人の自由や表現の本質が根本的に変わってしまうかもしれない。
結論
私たちは今、人とテクノロジーの共進化が新たな未知の領域に到達した歴史上重要な岐路に立っている。AIによるマインドリーディングは、人間の思考とプライバシーの本質に影響を与える点で大きく異なる。こうした進歩に関する情報を日頃から入手し、規制づくりに積極的に関与することが大切だ。AIが人とテクノロジーの相互作用を再定義する中、人間をこの進化の中心に据えることは、これらの進歩が基本的人権と自由を、侵害するのではなく、むしろ拡張させると保証する上で極めて重要である。（forbes.com 原文）
