「我々はセコイアを愛していますが、出資先との信頼関係こそがピーク15のブランドです。そして、充分に強いブランドだと自負しています。我々を成功へと導いてくれるでしょう」(シン)
セコイアの名が残る欧米事業はかつてほどの躍進は見込めないのでは、との懐疑的な声をボサは一蹴する。ペイパルの元CFO(最高財務責任者)だったボサは、かつての同僚で、同郷の南アフリカ出身のイーロン・マスクに今も信頼を置いており、「X(ツイッター)がどうなるか楽しみだ」と話す。FTXについては「不運だった」が、「ほかにも数多くの順調な出資先がある」ため、ファンドとしての損失は小さいという。セコイア・キャピタルの資金調達モデルの移行についても後悔はしていないと語る。出資先の株式を上場後も長く保有し続け、後に株価が低迷することになるとしても、である。
「全額分配できたのに、という意見もあるでしょう。あとから言うのは簡単です。ですが、我々のファンドや出資先企業のパフォーマンスを見てもらえれば、弱い立場にあるとは言えないはずです」(ボサ)
分割後の3社は今までのような特別な関係にはないにしても、共通の伝統を受け継ぐ者同士として進んでいってほしいとボサは言う。そして、自身が率いるセコイア・キャピタルについても自信を見せる。
「欧米でのテクノロジー投資について、この10年間でいちばん手応えを感じています。インターネットの黎明期を思い出しますよ」
セコイア・キャピタル◎1972年創業、米カリフォルニア州のベンチャー投資会社。創業者は故ドン・バレンタイン。アップルやグーグル、エアビーアンドビー、ストライプなど、のちに世界的なテクノロジー企業となるスタートアップに出資してきた。Forbes選定「Midas List(ミダスリスト:世界で最も影響力のある投資家)」の常連でもある。