暗号資産

2023.11.25

米司法省、ロマンス詐欺捜査で13億円の暗号資産押収

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米司法省は21日、ロマンス詐欺集団が所持していた約900万ドル(約13億4000万円)相当のステーブルコインTether(テザー)のトークンを押収したと発表した。テザーの発行元は今月、司法省による国際的な人身売買シンジケートに対する捜査に協力し、約2億2500万ドルのテザーのトークンを凍結していた。

司法省が名前を開示していないこのロマンス詐欺集団は、偽の暗号資産取引プラットフォームで 「Pig Butchering(豚の屠殺)」と呼ばれるタイプの詐欺を行い、70人以上から資金を騙し取っていた。この詐欺は、食肉業者が豚を肉に加工する前に太らせるのと同様に、犯罪者らが、被害者のロマンスへの期待を高めてから詐欺を行うことからこう呼ばれている。

米政府の金融犯罪に関する機関である金融犯罪捜査ネットワーク(FinCEN)は、豚の屠殺詐欺を「詐欺師が被害者との偽の恋愛関係を利用して、投資に用いると説明して金を送らせるもの」と説明している。

米司法省によると、詐欺集団は数十の暗号資産のアカウントや他のトークンを経由することで、奪ったトークンの行方を辿れないようにしていたという。フォーブスはテザーの発行元にコメントを求めたが、今のところ返答はない。

テザー・ホールディングスは今週、「世界的な豚の屠殺ロマンス詐欺」に関与する東南アジアの国際的人身売買シンジケートによって使用された資金に関する司法省の捜査に協力していると発表した。財務省の管轄下で金融犯罪の捜査を行うシークレットサービスは、テザーに約2億2500万ドル相当のトークンの凍結を要請したが、これらのトークンが今回押収されたトークンに紐づくものかどうかは不明。

FinCENは今年9月、豚の虐殺詐欺について警告を発し、米国の被害者がこれらの詐欺によって数十億ドルを失っていると指摘。この詐欺が主に、労働人身売買の被害者を利用して、世界中の何百万人もの無防備な個人への働きかけを行う東南アジアの犯罪組織によって行われていると報告していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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