当初、ウクライナ軍は老朽化したKS-19を砲手の訓練のためだけに使用しているようにもみえた。だが今年秋、チェコの自動車メーカー、タトラの大型トラックの荷台にKS-19がボルトで固定された2つのモデルをとらえた写真と動画がネット上に出回った。
KS-19を荷台に統合すれば、機動性を欠くという大きな欠点のひとつを解決できる。通常、砲兵部隊はKS-19を発射位置までけん引し、連結を外して照準を合わせ、発射した後、再び連結してけん引する。連結したり外したりしていると、反撃から逃れるための移動に余計な時間がかかってしまう。
ウクライナ軍がKS-19をタトラのトラックにボルトで固定したことは驚くにあたらない。チェコ製の8輪トラックはウクライナ軍で人気がある。同軍はタトラをロケット発射機や新しく作り出した国産自走榴弾砲2S22のベースとして使用している。
自走式のKS-19は要するに2S22だが、より威力があり射程も長い155mm砲の代わりに100mm砲を発射する。どちらも装填は手動だ。そして実際には、これらの榴弾砲の砲兵は照準を小型ドローン(無人機)に頼っている。
ウクライナ軍がKS-19を何門保有しているのか、また100mm自走榴弾砲を製造するためにタトラに何門取り付けるのかはわからない。だが、ここ1カ月ほどの間に、少なくとも2種類のKS-19自走榴弾砲を第241旅団が運用していたことは注目に値する。
古い榴弾砲を使ったこの新しい自走砲が怒りの砲撃をまだ実施していないとしても、それは時間の問題だろう。この秋、第241旅団は東部バフムート近くの前線にいた。そこでは、ウクライナ軍の旅団が非常にゆっくりと、ロシア軍が春に占領した地域に向かって前進している。
(forbes.com 原文)