欧州

2023.11.23 10:00

ロシア軍、お粗末な「フランケン車両」に改修施す

ロシア軍がウクライナで使用している車両をつぶさに観察しているエドワード・ペロフは自身のブログに「2M-3の液圧装置は放棄され、完全な手動誘導に変更されたようだ。これは労力を要しない最も簡単な解決策ではあるが、射撃の有効性に影響が出ることが予想される」と書いている

これにより、射撃中に大きく振動する火力支援の車両が生まれた。乗員3人もしくは4人の同車両は、遠くの標的に対する攻撃の精度に欠く。制圧射撃はできても、目標の破壊はおそらくできない。また、MT-LBの装甲は薄いため、射撃の精度を上げるために敵に近づくことは危険を伴う。

車両と砲塔がうまく統合されれば、振動は減る。アウジーイウカからの最近の映像からは、最新型の車両ではそうした改善が施されていることが示されている。砲塔は、旧型のものよりもはるかに高さがない。

砲塔の筒状の基部が見えないことからは、基部を取り外したか、MT-LBのコンパートメントへと押し込んだことが示されている。

いずれにせよ、よりバランスの取れた、安定した射撃プラットフォームになるはずだ。少なくとも、ロシアの技術者たちはMT-LB-2M-3の振動問題に取り組み始めた。もちろん、だからといって車両と砲塔の液圧装置が統合されたわけではない。だが、射撃プラットフォームの安定化は改良の第一歩だ。

そして、この取り組みはより広い傾向を反映している。ロシア軍、ウクライナ軍ともに戦場での損失を補うために新しい車両や完全に統合された車両を購入したり生産したりすることができないため、自作の「フランケン車両」にますます頼るようになっている。

両軍の最初のフランケン車両はかなり恥ずかしいものだった。だが時間の経過とともに、両軍とも車体や砲塔、砲を組み合わせるのがうまくなってきた。戦争が3年目に近づくにつれ、自作の戦闘車両の改良は今後も続くことが予想される。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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