おとめ座にある系外惑星「WASP-107b」は巨大ガス惑星で、質量は海王星と同じくらいだが、サイズははるかに大きい。科学者らから「ふわふわ」と呼ばれるほど低密度なため、大気の深部まで見通すことができる。今回の観測では、水蒸気、二酸化硫黄、ケイ砂(二酸化ケイ素の砂)の雲が発見されたが、メタンの痕跡は見つからなかった。メタンは、系外惑星の生命探査で極めて重要な生命存在指標と考えられている。
重大な節目
科学誌ネイチャーに掲載された、今回の研究をまとめた論文の主執筆者で、オランダ・ルーベンカトリック大学天文学研究所教授のリーン・デシンは「JWSTのMIRI(中赤外線観測装置)により、このふわふわな系外惑星で水と二酸化硫黄、砂の雲が見つかったことは、重大な節目となる」と話す。「この発見は、惑星の形成と進化に関する理解を塗り替え、太陽系に新たな光を投げかけている」MIRIは、惑星を赤外線で観測し、光を構成色に分解する分光器を備えている。これにより、光を分析して、特定の気体や化学物質の明確な兆候を発見することができる。WASP-107bは、ふわふわな性質を持つため、より高密度の系外惑星に比べて、この観測がはるかに容易にできた。大気の密度が低いと、信号(スペクトル特性)がより目立つからだ。