ファッション

2023.11.23 17:00

中国No.1コスメ「フローラシス(花西子)」の日本進出戦略とは?

稲垣 伸寿

ベルエポック美容専門学校で開催された公開メイク授業

9月中旬、東京・原宿にあるベルエポック美容専門学校で、日本初上陸の中国コスメ「フローラシス(花西子)」のプロモーションを兼ねた公開メイク授業が行われた。

フローラシスは2017年創業ながら、すでに中国では売上ナンバーワンの新進コスメメーカーだ。2021年から海外進出を開始、今年からは日本市場への参入の動きを見せている。

約150名を集めた公開授業のモデルとなったのは同校の学生。ステージの上でフローラシスの新作コスメのルースパウダーやアイシャドウ、リップなどを使ったメイクが実演された。

特徴は白い肌の「陶器肌メイク」

人気商品の「百花同⼼錠 彫刻リップ」を紹介するフローラシスの夏利熊(曹明磊)さん

人気商品の「百花同⼼錠 彫刻リップ」を紹介するフローラシスの夏利熊(曹明磊)さん

この日のテーマは、中国発の「千金メイク」と呼ばれる上品で華やかなお嬢様メイクだそうで、登壇した同社の日本マーケティング責任者の夏利熊(曹明磊)さんは、ブランドについて次のように紹介した。

「フローラシスは、中国浙江省の省都・杭州の歴史ある景勝地である⻄湖のほとりで誕生しました。中国には古くから花を用いた美容法があり、フラワーエッセンスやハーブエキスなど植物の力を最新の科学技術と融合させることで製品開発をしています。創業者の1人は庭園デザイナーで、製品やパッケージのデザインに中国の伝統⽂化と美学を採り入れています」

今回モデルになったベルエポック美容専門学校1年の余語咲来さんはこう話す。

「ステージを降りて鏡を見たら、目元をはじめ、それぞれのパーツがくっきりして、普段とは違った。発色がいいので、ブラシを強く曲げたりせず、ささっとするだけでメイクがなじみます」

授業後に話を聞いた学生(余語咲来さん、安西芽衣さん、礒菜々桂さん)。さすがは美容専門学校生、3人はフローラシスをすでに知っていた

授業後に話を聞いた学生(余語咲来さん、安西芽衣さん、礒菜々桂さん)。さすがは美容専門学校生、3人はフローラシスをすでに知っていた

授業に参加した数名の学生にもフローラシスや中国コスメの話を聞いた。

「(SNSやYoutubeで)中国コスメの存在を知ったのは1、2年前から。ラメに個性があるけど、てかりすぎず、ナチュラルな感じです」

「去年トレンドになった中国のネットインフルエンサーによる『網紅(ワンホン)』メイクも、濃いめの仕上げと際立つパーツ、派手なまつげなどが特徴でした。韓国コスメの透明感、日本コスメのかわいさとは違い、中国コスメはカッコいい女性向けという気がします」

「パッケージがきれいなのも特徴。リップに彫刻が施されていたのに驚いたけれど、今日の授業でその彫刻のデザインにもこだわりと意味があることを知りました」

ここで学生たちが話しているのは、同社の人気商品「洛神賦 アイシャドウパレット」や「百花同⼼錠 彫刻リップ」のことだ。

古典的な扇形デザインパッケージが特徴の「洛神賦 アイシャドウパレット」は深みと気品のある⽬元に仕上げる

古典的な扇形デザインパッケージが特徴の「洛神賦 アイシャドウパレット」は深みと気品のある⽬元に仕上げる

「百花同⼼錠 彫刻リップ」には中国の古い恋愛話「張敞畫眉」のストーリーが刻印されている。京兆尹という官職にある夫が愛する妻の眉を好んで描いたという故事である

「百花同⼼錠 彫刻リップ」には中国の古い恋愛話「張敞畫眉」のストーリーが刻印されている。京兆尹という官職にある夫が愛する妻の眉を好んで描いたという故事である

今回の公開メイク授業はプロモーションの一環として企画されたのだが、各学生に商品サンプルも提供された。その使い心地などについて、それぞれインスタグラムに「花西子」「令嬢メイク」のハッシュタグを付けて拡散してもらうことが条件だった。

授業後、学生たちはインスタグラムで中国コスメによる「令嬢メイク」を拡散した

授業後、学生たちはインスタグラムで中国コスメによる「令嬢メイク」を拡散した

ベルエポック美容専門学校キャリアセンターの本郷健一さんは、数年前から中国コスメに目をつけていたという。

「当校は原宿にある美容専門学校で、常に海外の最新美容アイテムを採り入れることに専念してきましたが、2021年頃から中国コスメが来ていることは承知していました。

その特徴は、つるんとして白い肌の『陶器肌メイク』と呼ばれるもので、韓国コスメにはない強いこだわりがありました。つくり込んだメイクが特徴で、大人の印象を与えるため、インフルエンサーやインスタグラマーなど、写真映えを求める人に向いていると思います。

いまの学生たちは、バッグの中に人と違うものが入っていることが大事。最近はクリスチャンディオールが人気のようですが、フローラシスが入っていると、人と違うことをアピールできる。今後は、当校の授業でも教材として採用したいし、高校生向けのオープンキャンパスではデモンストレーションをやりたいと考えています」
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文=中村正人 写真=島野雅弘、フローラシス(花西子)

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