この訴訟は、前CEOのサム・アルトマンの突然の更迭後のOpenAIが、混乱に陥っている中で起こされたもので、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー『人類初の南極越冬船 ベルジカ号の記録(原題:Madhouse at the End of the Earth)』の著者のジュリアン・サンクトンが原告団を率いている。
サンクトンはこの本の調査のために、5年の歳月と数万ドルを費やして世界中を旅したとされる。法律事務所Susman Godfrey LLPが提出した訴状によると、ChatGPTは、サンクトンの著書がチャットボットの訓練に使われたデータセットの一部であることを認めたという。
サンクトンと数千人の作家たちは、AIの訓練に彼らの知的財産が使用されることに同意しておらず、対価も支払われていないと主張している。彼らはまた、マイクロソフトとOpenAIがAIモデルを商業化し、BingChatや企業向けのChatGPT Enterpriseのようなプロダクトを通じて数十億ドルの収益を上げていると述べている。
「ノンフィクション作家は、著作物の構想や研究、執筆に何年も費やすことが多いが、OpenAIとマイクロソフトは作家への支払いを拒否している。彼らの行為は、著作物の窃盗に他ならない」と訴状は述べている。
OpenAIとマイクロソフトは、他にも複数の著作権関連の訴訟に直面している。9月には、著名なSF作家で『スパイダーマン2』の脚本の草稿などを手がけたマイケル・シェイボンをはじめとする作家たちが、著作権侵害でOpenAIに対して同様の訴訟を起こしていた。同社はまた、昨年には別の著作権訴訟で、アーティストやクリエイターたちから訴えられていた。
しかし、今回の訴訟は、マイクロソフトを被告に含めている点で、他の訴訟とは異なっている。
以前の著作権侵害の訴訟でOpenAIは、ChatGPTが生成したコンテンツは「二次的著作物」に該当しないため著作権侵害には当たらないと主張していた。マイクロソフトはフォーブスのコメント要請に即座に応じず、OpenAIは係争中の訴訟に関するコメントを拒否した。
(forbes.com 原文)