米国獣医学会(AVMA)によると、オレゴン州農務省は今年8月、同州ポートランド近郊で「非定型犬伝染性呼吸器疾患」が流行しているとの報告を受けた。その後、200件以上の症例報告が獣医師から上がっているという。
同省によれば、この呼吸器疾患に感染した犬に一般的に現れる症状は、軽度~中等度の慢性気管支炎、抗生物質が「ほぼ」効かない慢性肺炎、24~36時間で急速に重症化し「しばしば予後不良となる」急性肺炎のいずれかだという。
コロラド州立大も先週、州内の犬に「上気道感染につながる伝染性疾患」が広がっていると報告。初期臨床検査の結果、発症した犬から「主に呼吸器系に感染して」細菌感染や肺炎を引き起こすウイルスが見つかったと明らかにした。
感染経路はまだ不明で、同大では病原体が新型のウイルスなのか、細菌なのか、あるいは「より病原性の高い既知の病原体」なのか特定を急いでいるという。
オレゴン州農務省もコロラド州立大も、米連邦機関の国立獣医学研究所(NVSL)と協力して病原体の特定に努めているとしている。また、飼い主には犬のワクチン接種を徹底するよう呼び掛けている。
米ニュース番組「トゥデイ」によると、この数カ月間に少なくとも全米10州(ニューハンプシャー、マサチューセッツ、ロードアイランド、カリフォルニア、インディアナ、イリノイ、ワシントン、アイダホ、ジョージア、フロリダ)で類似した症例が報告されている。
コロラド州コロラドスプリングスにある動物病院の責任者リンゼイ・ガンザーは米紙ニューヨーク・タイムズに、10月下旬以降この感染症にかかった犬35匹以上を診察したと説明。「獣医師界全体に若干の恐怖感が広がっている」と述べた。