営業停止とCEO辞職に揺れる自動運転「クルーズ」の社内会議の模様

ゼネラルモーターズのメアリー・バーラCEO(Photo by Stephen Olker/Getty Images for SXSW)

ゼネラルモーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOは11月20日、傘下の自動運転テクノロジー企業クルーズのビデオ会議にスタッフ全員を招集し、彼らを勇気づけようとした。クルーズは、ここ数週間さまざまな苦境に直面し、直近ではCEOと最高プロダクト責任者の両名が辞職していた。

「今は新たなスタートを切るためのチャンスです」と彼女は、フォーブスが入手した通話ファイルの中で語っている。「そして、まず最も重要なことは、みなさんは私とGMの全面的なサポートを受けられることを知ってほしいということです」とバーラCEOは述べていた。

約30分におよんだ会議では、他のGM幹部やクルーズの役員らも発言した。彼らはみな、クルーズのスタッフとそのミッションを賞賛し、最近の数々の困難にもかかわらず、彼らが会社の近い将来を危惧していないことを強調した。

クルーズの第二の共同創業者であるダン・カンは、この会議の数時間前に辞任を発表した。もう1人の共同創業者で元CEOのカイル・ヴォクトは、19日夜に会社を去ることを発表した。

クルーズとGMの取締役を兼任するジョン・マクニールは「この会社の業務に取り組むみなさんには深い敬意を表します」と述べた。バーラCEOはまた、GMが現時点ではクルーズの暫定CEOを任命していないことにも言及したが、彼女も他の首脳陣もスタッフからの質問を受け付ける場面はなかった。

バーラCEOは、クルーズがここ数週間深刻な課題に直面しているにもかかわらず、彼女とGMの首脳陣が自動運転車のミッションと呼ぶものを「信じている」と強調した。クルーズは、過去4年間ほとんど収益を上げておらず、合計約60億ドル(約8900億円)の損失を計上している。

自動運転分野では、他の企業も困難な状況に直面しており、フォードは昨年10月に傘下の自動運転テクノロジー企業のアルゴAIを閉鎖していた。一方、アルファベットの子会社のウェイモは、この分野のトップの座にあり、同社のロボタクシーは今でもカリフォルニア州とアリゾナ州で運行を続けている。
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編集=上田裕資

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