同委員会は今後3年間、孤独の蔓延を「世界的な公衆衛生の優先的課題として確実に認識し、資源を動員する」ことを目指し、「社会的つながりに関する国際的目標を提案し、委員に就任した高官たちと協力して行動を起こし、実証済みの解決策を拡大し進捗を測るための支援体制を整える」としている。
孤独のもたらす健康上の脅威はどれほど大きいのだろうか? それはかなり悪い、と米国公衆衛生局長官で医学博士、公衆衛生学修士のビベック・マーシーは言う。マーシーが今年5月に公開した「Our Epidemic of Loneliness and Isolation」(私たちの孤独と孤立の蔓延)と題したレポートによれば、孤独の健康への悪影響は、1日15本の喫煙にも相当するという。実感がわかない人のために言っておくと、「毎日タバコを15本吸いなさい。問題ありません」という医者はいない。
15本分のタバコと同等というたとえは、慢性的な孤独の体験が、さまざまな慢性疾患を引き起こすリスクを高めるという観察結果から生まれた。たとえば、社会的つながりが乏しいあるいは不十分な状態は、心臓病のリスクを29%、脳卒中のリスクを32%増加させ、不安、うつ病、認知症、呼吸器系疾患、ウイルス感染のリスクも高めるという研究結果が、同レポートには引用されている。
このような調査結果は「心身相関」の重要性を改めて強調するものだ。心は肉体と身体的につながっていることが望ましいというだけでなく、心の中で起きたことは必ずしも心の中に留まらずに、身体全体の働きに大きく影響を及ぼす可能性がある。言い換えれば、精神的および感情的な健康は、肉体的健康に極めて複雑な形で影響を与える可能性があるのだ。