CEOs

2023.11.21 16:30

OpenAI崩壊、最大の勝者となったマイクロソフトとナデラCEO

マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは11月19日、OpenAIのCEOを解任された共同創業者のサム・アルトマンと社長を辞任したグレッグ・ブロックマンの2人がマイクロソフトに加わると発表した。ナデラのすばやい決断は、マイクロソフトの人工知能(AI)分野におけるポジションをさらに強固にするものとして称賛された。

17日に、アルトマンの追放というOpenAIの取締役会の決定に不意を突かれたナデラは、週末に彼をCEOに復帰させるための取引を仲介したが、その試みは頓挫し、19日にアルトマンとブロックマンらをマイクロソフトに迎え入れると発表した。2人は、マイクロソフト社内のAIチームを率いるとされた。

この発表を受け、マイクロソフトの株価は20日の市場で2%急騰し、時価総額は2兆8100億ドル(約414兆円)に上昇した。

また、その同じ日に数百人のOpenAIの社員が同社の取締役会メンバーの辞任とアルトマンのCEO復帰を要求する中、ナデラはマイクロソフトがOpenAIとの関係を今後も維持すると宣言し、同時に新たな社員らを歓迎。「我々は、彼らの成功に必要なリソースを提供するために迅速に動くことを楽しみにしています」と彼はX(旧ツイッター)に投稿している。

社外の人々は、ナデラが実際の買収をともなわずに、テック業界で最も注目される買収の1つを成功させたと考えている。今から約20年前に司法省からのブラウザ問題に関する独禁法訴訟に直面したマイクロソフトが、OpenAIのリーダーを吸収したことは、画期的なことだ。

「マイクロソフトは、独禁法の問題を触れることなくOpenAIを手に入れた」とRBCのマイクロソフトのアナリストのリシ・ジャルリアはフォーブスに語った。

かつてテック業界で最も恐れられる存在であったマイクロソフトの革新的なイメージは、グーグルやフェイスブックのような彼らよりも若い業界の巨人の台頭の中で衰えていた。しかし、今回のナデラの動きは、そのマイクロソフトが近年どれほど躍進したかを浮き彫りにした。

ベンチマーク・キャピタルの投資家のビル・ガーリーは「今から10年前であれば、この国で最も賢いエンジニアたちによる『私のいうことを聞かなければマイクロソフトに転職するぞ』という脅し文句は、冗談にしか聞こえなかったはずだ」とXに投稿した。「今回の件は、企業評価の劇的な変化を示す事態であり、それはサティアの功績だ」と彼は付け加えた。
次ページ > AI分野におけるマイクロソフトの驚くべき台頭

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事