今回、韓国のWeb3コンサルティング企業「Catalyze Research」の最高戦略責任者Josh Kim(ジョッシュ・キム)を招き、韓国におけるWeb3業界最前線について話を伺った。第1回目の今回は、Web3の中でも、韓国における暗号資産市場にスポットライトを当てる。韓国は米国に次いで暗号資産の取引が活発であり、一人当たりの暗号資産保有量も世界最高レベルである。その背後にある社会心理とは。
吉川:ジョッシュ・キムさん、今日は韓国のWeb3業界についてのお話をたっぷり伺いたいと思います。まずはCatalyze Researchがどんな会社か説明していただけますか?
ジョッシュ・キム(以下、キム):Catalyze Research(以下、Catalyze)は韓国の第一世代のWeb3コンサルティング企業です。17年にBinance(バイナンス)とコラボレーションしたのを契機に、それ以降、十数のパートナーや顧客にWeb3分野のコンサルティングサービスを提供してきました。サービスには、中長期の戦略策定、オンチェーン/オフチェーンのデータ分析、市場参入戦略などが含まれます。現在は、Ripple(リップル)とパートナーシップを組んで、XRP Ledger(レイヤー1のパブリックチェーン)の韓国における普及に向けたイニシアチブを推進しています。私はアーンスト・アンド・ヤング(EY)でデジタルコンサルタントを務めたのち、現在はCatalyzeで戦略や事業開発方面での支援をしております。
吉川:早速ですが、韓国におけるWeb3および暗号資産業界の現状についてどうみていますか?
キム:今、韓国のWeb3業界で最もホットな話題は「Institutional Adoption(企業による導入)」です。韓国で有名な上場企業のほとんどがWeb3およびブロックチェーンの新規事業のための部署を有しています。企業によるブロックチェーンの導入は活発ですが、同時に、一般消費者の関心や導入も高くなっています。韓国金融情報分析院(FIU)の昨年の調査によると、韓国国民の3割(約1500万人)が暗号資産サービス業者(とりわけ暗号資産取引所)のユーザーであり、11.3兆ウォン(約83億ドル、約1.2兆円)の日次取引高があり、法定通貨ベースのビットコインの取引量では米ドルに次いで世界第2位の取引量を誇っています。