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2023.11.21

ロマンス詐欺に何度も騙される85歳の父、真っ先に衰える金銭的判断能力

Getty Images

レイは85歳。妻に先立たれた孤独な男性だ。ひとり暮らしをしており、2つの州にそれぞれ家を持っていて、それらを日常的に行き来している。

レイの息子と娘は、父が詐欺師たちに個人情報とお金を渡していることを知り、ひどく動揺した。オンラインで魅力的な女性たちの投稿を目にした彼は、やりとりを始め、恋愛関係に発展する見込みがあると思い込んだのだ。

レイは現在、初期の認知症と診断されている。だが、高い教育を受けてきた彼は聡明で、狡猾と言ってもいいくらいだ。自分では何の問題もないと思っているが、どう見ても、金銭面での判断能力はひどく衰えている。

恋愛をほのめかす女性たちはやがて、彼に会いに行きたいので、飛行機のチケット代をギフトカードで送ってほしいと頼んできた。彼はギフトカードを送った。もちろん、その後で女性たち(あるいは、女性として投稿していた人物たち)は消えてしまった。

だが、レイは被害経験から学ぶことなく、何度も同じ手口に引っかかった。レイの息子は、恋愛を匂わせる投稿は、実際にはサイト上の写真を流用したボットによるものだと考えている。その可能性はありそうだ。だが、詐欺被害で20万ドル(約3000万円)以上を失ったあとも、レイはいまだに、「もっと気をつければ」、次こそは騙されたりしないと考えており、子どもたちにもそう言い張っている。彼の言葉を、子どもたちは信用していない。

子どもたちはもちろん、父を守りたいと考えている。彼らはまず、後見人制度について、法的な助言を求めた。その結果、父は、心理士が実施する検査を受けることに同意した。繰り返すが、レイは聡明な男性だ。高い学歴と豊富な経験をもつ人物である場合、たとえ初期の認知症を患っていても、検査結果を正常の範囲に収められることがある。検査の結果に、州裁判所が後見人の必要性を認める根拠となる要素は何もなかった。

レイは、重度の障害があるわけでもなければ、自力で生活できないわけでもない。こうして、後見人という選択肢が消え、子どもたちは、彼をネットにあふれかえる詐欺師から守る別の方法を見つける必要に迫られた。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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