同僚との付き合い方を巡る議論では、極端な意見が存在する。職場で友情を育む必要はないという声がある一方で、職場が主な社交の場だという人もいる。
しかし、どちらのやり方にも限界がある。職場で交友関係を築いたり、同僚と親しくしたりすることにメリットがある一方で、職場で大きく友達の輪を拡げると、プロフェッショナルとしての力関係が複雑化しかねない。利害が衝突したり、多数の深い関係を維持するのが難しくなったりする可能性があるからだ。だからこそ、職場で友情を育む場合は、量より質を優先させることが重要となってくる。
職場での人間関係においては、例えば「職場の親友」を持つといった、焦点を絞ったアプローチをとることが大切だ。それにより、「サポート」と「理解」の類稀な融合が生まれる可能性がある。このことは、キャリアや全般的な仕事の満足度にプラスの効果を与えてくれるはずだ。
職場で親しい友人を持つことは、職場での日々の苦労を軽くしてくれるだけではなく、プロフェッショナルとして成長する上でも大いに助けとなる。これについてもう少し説明していこう。
1. インポスター症候群を克服し、本当の意味で成長することを助けてくれる
インポスター症候群とは、業績を上げて周囲から評価されても、自分でその成果を疑い、自分が能力があるように周囲を欺いている「詐欺師」であることがバレてしまうのではないか、と不安になる心理現象であり、働く人の多くが悩まされている。インポスター症候群に関する研究を対象にした2019年の系統的レビューでは、10代の若者から、キャリア後半に差しかかったプロフェッショナルまで、幅広い人々にインポスター症候群が影響を及ぼしており、うつや不安を併発する場合も多いことが明らかになった。職場に自分の居場所がないと感じると、仕事のパフォーマンスが大きく妨げられたり、仕事に対する満足感が得られなかったりし、ひいては燃え尽き症候群に陥ってしまうことがある。