個人投資家もこうしたメリットを享受し、資産形成や長期的な金融保障に役立てるべきですが、それは簡単なことではありません。
世界経済フォーラムの「Future of Capital Markets(資本市場の未来)」イニシアチブは、アクセンチュアとラザードの協力のもと業界の専門家を招集。個人投資家へ責任あるアクセスを拡大する方法について検討しました。本題についてWEFのアジェンダからご紹介します。
これまで機関投資家やごく少数の人々が、非上場株式市場のリターンや分散投資のメリットを享受してきました。
資産形成と長期的な財務的安定を確保するためには、個人投資家もこうしたメリットを享受できるべきです。しかし、非上場株式市場を広くアクセス可能にすることは、機会を提供する一方でリスクも伴います。非上場株式市場への投資は質的に複雑で、公開市場への投資に比べて透明性が低い上、一般的に流動性が低く、ロックアップ期間も長いためです。
世界経済フォーラムの「Future of Capital Markets(資本市場の未来)」イニシアチブは、アクセンチュアとラザードの協力のもと業界の専門家を招集。個人投資家へ責任あるアクセスを拡大する方法について検討しました。
結果をまとめた白書「Broadening Access to Private Markets(非上場株式市場へのアクセスの拡大)」より、以下にその知見の一部を紹介します。
非上場株式市場へのアクセスは重要
世界経済の発展の中心的存在は証券取引所などの公開市場でしたが、大きな転換が進んでいます。ますます多くの企業が、非上場株式市場を好むようになっているのです。私的な資金調達に依存し、株式公開を先延ばしにする、あるいは回避することで、長期にわたって非公開企業のままでいることを選択しているからです。その結果、世界金融システムの中でも、非公開企業や不動産など証券取引所で取引されていない資産に投資できる非上場株式市場の規模は拡大し、2022年3月時点で9兆6000億ドルに達しています。
この変化は、世界経済と投資収益に大きな影響を与えています。非上場株式市場は、公開市場のみを利用した場合のポートフォリオに比べて、リターンの向上、追加的な収益の創出、リスクの分散が得られ、富を生み出すことが可能です。ただし、これらのメリットを享受するには手数料やコストがかかり、流動性ロックアップ期間が存在します。