発表によると、コンテナ海運大手のCMA CGMを率いるサーデと、通信大手イリアドの創業者のニールは、それぞれ1億ユーロ(約163億円)を出資し、シュミットは自身の慈善団体シュミット・フューチャーズを通じて非公開の金額を出資する。
この取り組みは、欧州におけるAI業界の基礎を築くことになるかもしれない。
TechCrunchによると、17日にパリで開催されたAI Pulseカンファレンスに出席した3人は、イリアドがKyutai のラボのために1000個のエヌビディア製チップのNvidia H100 GPUを確保したと述べた。
この研究所は非営利団体として運営され、設立当初のOpenAIと同様にオープンソースの取り組みを予定し、マイクロソフトやゴールドマン・サックス、メタの元社員らが参加しているとされる。ブルームバーグはシュミットが17日「フランスは優秀な科学者を輩出しているが、ブリュッセルをコントロール下に置き、EUの過剰な規制を避けなければならない」と語ったと報じている。
フランスの通信業界の富豪であるニールは、ル・モンド紙や不動産会社ウニベイル・ロダムコ・ウエストフィールドの株式も所有している。サーデは、世界第3位の海運コンテナ会社CMA CGMを父親から受け継いだ。
ブルームバーグは、両者がすでにフランスのAI事業に多額の投資を行っていると報じている。彼らの投資先には、OpenAIを競合に見据えるパリのスタートアップのMistralや、フランスに本社を移転する計画の米国の新興企業Poolside AIなどが含まれている。
これらの企業は、Aleph Alphaというドイツの新興企業と並んで、米国のイノベーションに追いつこうとしている欧州のスタートアップの一社に挙げられている。しかし、ビジネス界が技術革新にしのぎを削る一方で、欧州各国の政府首脳はAI規制の国際的な標準になろうとしている。EUの議員らは今年6月、AIを規制する世界初の主要法案であるEU AI法を承認した。
フォーブスは先日の記事で、シュミットが、自身が関与していた他のいくつかの非営利プログラムへの関与を突然取りやめた、あるいは見直し中であることが判明したと報じていた。その中には「次世代の科学者と技術者」を生み出すためにホワイトハウスと提携したプログラムのRise(ライズ)などが含まれていた。
フォーブスは、世界で89番目に裕福な人物であるシュミットの保有資産を199億ドルと試算している。ニールとサーデの資産は、それぞれ66億ドルと98億ドルとされている。
(forbes.com 原文)