フォーブスは、不満を高める広告業界の幹部たちが「なぜ自分の評判を危険にさらしてまでマスクを庇うのか」とヤッカリーノに疑問を投げかけ、彼女に退任を提案したことを確認した。幹部らは、退任後のヤッカリーノが人種差別や反ユダヤ主義についての声明を出すことを期待しているが、情報筋によれば、彼女は今のところ彼らの懇願に抵抗しているという。
先週、マスクは明らかに反ユダヤ的な陰謀論を支持し、監視団体メディア・マターズの報告書によれば、IBMやアマゾンを含む大手企業の広告が、ナチスや白人ナショナリズムを助長するコンテンツの隣に掲載されていたことが判明した。これを受け、アップルやディズニー、IBMはXへの広告出稿を停止した。
ホワイトハウスでさえ、マスクの反ユダヤ的で人種差別的な発言を非難している。マスクは、反ユダヤ的な陰謀論を唱えるユーザーの意見に同意していた。
11月16日、ヤッカリーノは、Xへの投稿でこの騒動に反論した。「Xの視点は常に、差別は全面的にSTOPすべきだという非常に明確なものです。世界のどこにも反ユダヤ主義の居場所はありません。醜いし、間違っている」と彼女は述べた。フォーブスは、ヤッカリーノにXの広報チームを通じてコメント要請を行ったが、ただちに返答はなかった。
NBCユニバーサルで十数年間にわたり広告部門のトップを務め、反ユダヤ主義撲滅財団とのパートナーシップも立ち上げたヤッカリーノは、マスクによる買収以降に、ヘイトスピーチやその他の有害コンテンツが急増しているプラットフォームに対する広告主の怒りを和らげるために、半年前に引き抜かれた。CEOに就任後の最初のインタビューでヤッカリーノは「あらゆる客観的指標から見て、Xは1年前よりもはるかに健全で安全なプラットフォームになりました」と述べていた。
機能しない「管理ツール」
ある情報筋によれば政治家志望だという彼女は、広告主が広告の隣に表示されるコンテンツをコントロールできるようにするためのツールを構築することを約束した。しかし、このツールは「約束通りには機能していない」と関係者はフォーブスに語っている。この関係者やフォーブスが閲覧した資料によると、機械学習によって強化された「感度設定」は、広告主にすでに提供されている既存のコントロールを補完するものだった。これは、キーワードフィルタリングやブロックリストに加え「AIを利用したセーフティネット」となるもので「保守的」に設定した場合に、ヘイトスピーチなどの不適切なコンテンツから広告を保護できるものだった。
さらに、このツールの管理画面では「Xのルールに違反するコンテンツは、選択された感度レベルに関係なく除外されます」と記載されていた。
しかし、この施策は、アップルやオラクル、IBMらの広告が、ヒトラーやナチスを喧伝する投稿の隣に表示されるのを止められなかった模様だ。広告を取り下げたブランドを激怒させたのは、Xが広告主を保護するという約束を、またもや果たせなかったことだと、ある情報筋はフォーブスに語った。
しかし、マスクは現在、メディア・マターズの報告書が誤りだと述べ、彼らを提訴すると述べている。フォーブスは、Xにコメントを求めたが「多忙のため、後ほどご確認ください」との自動返信メールが返ってきたのみだった。
(forbes.com 原文)