NASAによると、系外惑星は検出が始まった1990年代以降で5000個以上見つかっており、太陽系が属する天の川銀河(銀河系)には1000億個存在すると推定されている。
近くにある地球サイズの岩石惑星
今回の系外惑星「LTT 1445Ac」は、エリダヌス座の方向わずか22光年の距離にある。NASAによると、太陽に比べてはるかに小さく、温度が低い赤色矮星を3.1日の周期で公転している。赤色矮星は銀河系の恒星全体の約70%を占めている。だが、今回の主星は三重連星系内にあり、接近した軌道を周回する2つの赤色矮星を伴っている。専門誌The Astronomical Journalに掲載された、今回の研究をまとめた論文で明らかになったところによると、ハッブル宇宙望遠鏡は地球を6周する間に、LTT 1445Acの直径が地球の1.07倍であると突き止めた。
2022年に発見
LTT 1445Acは2022年、米航空宇宙局(NASA)のトランジット系外惑星探索衛星(TESS)によって最初に発見された。TESSは、トランジット法を用いて系外惑星を探す。円盤に見える恒星の表面を惑星が横切る際に恒星の光に生じる変化を検出する方法だ。系外惑星が見つかれば、星の表面を横切る間の惑星に宇宙望遠鏡を向け、星の光を集めて分析し、惑星の直径などを算出する。惑星に大気がある場合は、大気を通過する星の光を分析し、大気の組成などを調べることができる。この技法は分光法と呼ばれる。論文の筆頭執筆者で、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード・スミソニアン天体物理学センターのエミリー・パスは「星の表面を横切る惑星は、非常に興味深い。分光法を用いて、惑星大気の特性を明らかにすることができるからだ。観測にはハッブルだけでなく、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)も使うことができる」と説明した。
「今回の測定が重要なのは、この惑星がすぐ近くにある地球型惑星である可能性が高いことを示しているからだ」と、パスは続けた。
近くて興味深いジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡向けの観測対象
論文の執筆者らは、LTT 1445Acが地球に近いことから、将来の大気観測の興味深い対象となると考えている。今回の研究には参加していない、ドイツ・ハイデルベルクにあるマックス・プランク天文学研究所(MPIA)の教授を務めるローラ・クライドバーグは「地球からの観測で大気について知ることができるほど近くにある地球型惑星は、極めて少数しか存在しない」と指摘する。「わずか22光年の距離にあるLTT 1445Acは、銀河の観点から見れば『すぐ隣』なので、フォローアップ観測を実施し、大気の性質について知るには、全天で最も適した惑星の1つだ」(forbes.com 原文)