「摂氏1.5度が唯一の選択肢である」と、国際雪氷圏気候イニシアチブ(ICCI)は11月16日に公開した最新の報告書で宣言し、今世紀中に地球の気温が2度上昇するだけで、氷床、氷河、雪、海氷、および永久凍土に不可逆的な害を及ぼし、海面上昇を加速させるだろうと警告した。
「氷の融点とは交渉できない」という副題を掲げた同報告書は、11月30日にドバイで始まるCOP28気候サミット参加国に対し、1.5度を地球温暖化の上限として定義するよう呼びかけた。
これは急進的な動きだ。2015年のパリ協定(環境省による仮訳文)では、国際社会が「平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏2度高い水準を十分に下回るものに抑える」こと、並びに、上昇を工業化以前よりも摂氏1.5度高い水準までに制限するための「努力を継続する」ことを誓約した。しかし研究者らは、「不可逆的な」氷の減少を防ぐためには、より厳しい制限が必要であり、そうした念願が化石燃料排出物を削減する努力を後押しし、気候変動対策の資金調達に役立つことを期待していると述べている。
「私たちは、再生不能エネルギーがもはや選択肢とならない未来に向けて、もっと多くのことができるし、そうする必要があります」と著者らは言っている。「この気候危機を乗り越える唯一の方法は、最終的に化石燃料を排除し、グリーンウォッシング(偽善的な環境配慮)に抵抗することです。結局のところ、氷の融点に効き目があるのは美辞麗句ではなく、私たちの行動だけなのです」
著者らは、世界の平均気温の上昇が今年中に1.5度に近づく可能性があることを指摘しつつ、「率直に言って1.5 度でさえ高すぎるのです」とさらに警告した。