ヘルスケア

2023.11.20 13:00

最新型コロナワクチン、米成人の接種率は15%未満

Ringo Chiu / Shutterstock.com


実際、10月31日~11月7日に米国内の成人1301人を対象にKFFが電話とインターネットで行った最新調査の結果からは、多くの米国人が「新型コロナウイルスは消えていないが自分は気にしない」と考えていることがうかがえる。年末年始にかけて3年連続で感染急拡大が起きたというのに、誰かを感染させてしまうかもしれないと懸念する人は31%にすぎず、自分が感染して重症化する可能性を心配している人は28%しかいなかった。
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回答者の約半数は、例示された感染予防措置を取るつもりはないと答えた。大人数の集まりを避ける予定の人は35%、人混みではマスクを着用する予定だと答えたのは30%、友人や家族を訪ねる前に感染していないか検査するつもりの人はわずか18%だった。

2021年以来、多くの政治家や企業家が新型コロナウイルスをなかったことにしようとしてきたように見える点を考えると、これらの数字の低さはさほど驚くべきことではないのではなかろうか。COVID-19と感染対策は政治的に利用されてきたため、感染拡大防止策の強化に政治家がやや慎重になっている可能性はある。

ホワイトハウスと連邦政府は、今秋から冬にかけて講じるべき具体的な感染対策について明確なメッセージを発信していない。その結果、人々は推測で判断したり、ソーシャルメディアで拡散されている怪しい情報に頼ったりすることになりかねないが、それはトイレの落書きにしたがって仕事や恋愛、人生の決断を下すようなものだ。さらに、国家規模の包括的な監視システムがなければ、新型コロナウイルスの動向を追跡し、感染リスクの高い環境や条件を把握することも難しくなる。米国は今後の新型コロナ対策をめぐって、いささか暗中模索の状況に陥っているようだ。
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ソーシャルメディア上では「#Covidisnotover(コロナは終わっていない)」というハッシュタグが拡散され続けているが、事実、コロナ禍はまだ終わっていない。2020年当時ほどの脅威ではなくなったものの、今も感染すれば冗談では済まない。ワクチン接種を済ませていても重症化したり後遺症が残ってしまったりする恐れがあり、そのリスクは追加接種を重ねるほど低くできる。あらゆる兆候から見て、新型コロナウイルスは流行を繰り返すことになりそうだ。

ウイルスは「信ずれば成る」とか「病は気から」とか「はったりで乗り越えろ」といった人生訓的なお題目でどうにかできるものではない。だからといって、ウイルスに怯えて暮らし、やりたいことも我慢して生きろということではない。今、そしてこの先、新型コロナウイルスにどう対処するのかについて、もっと明確な国家計画が必要だ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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