最新型コロナワクチン、米成人の接種率は15%未満

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年初頭からこれまでに115万人を超える米国人を死に至らしめた。今なお800万人以上が後遺症に苦しんでいる。だが、最新型ワクチンの接種率の低さや最近実施された調査結果を見ると、米国で新型コロナウイルスを真の脅威とみなす人は減る一方のようだ。

道行く人を見ればわかるように、多くの人がマスクの使用をすっかりやめてしまった。空気清浄機を稼働させ、手指消毒用のアルコールを常備しておくといった感染予防策を続けている企業も、どうやら減少の一途をたどっている。11月17日現在の米疾病対策センター(CDC)の統計によれば、最新の新型コロナワクチンを接種した人は小児でわずか5.4%、18歳以上の成人で14.8%、65歳以上の高齢者でも31.7%にとどまる。

最新型ワクチンの接種率はなぜこんなに低いのだろうか。カイザー・ファミリー財団(KFF)の調査では、新型コロナワクチンの接種を以前受けたことがあるが最新型の追加接種は受けなかったと答えた成人の半数以上が、感染リスクを心配していないことを主な理由に挙げている。

どのような理由付けをしたところで、今秋の米国におけるワクチン接種状況は到底満足のいくものではない。最新型ワクチンは、今年に入って流行の主流となったオミクロン株XBB.1.5系統に対応しており、最近感染が拡大しているEG.5系統やBA.2.86系統などのオミクロン変異株にも非常に優れた予防効果を発揮するとされている。

また、新型コロナワクチンの予防効果は接種後4~6カ月で弱まり始める。つまり、ワクチンを追加接種するというのは、スマートフォンのソフトウエアを更新するようなものだ。最後にワクチンを接種したのが2023年前半かそれ以前の人が、現在どのくらいきちんと感染リスクから守られているかはわからないのだ。

にもかかわらず、新型コロナワクチン接種への関心は2022年以降、確実に低下している。最初の2回接種を完了した米国在住者は全年齢で69.5%、18以上の成人では79.1%だったのに対し、追加接種率はこれをはるかに下回り、インフルエンザワクチンの接種率よりも低い。

今季のインフルエンザ予防接種を受けた人はすでに小児で35.1%、18歳以上の成人で36.3%、65歳以上の高齢者で59.5%に上っている。ということは、最新の新型コロナワクチンの接種率が低いのは、ワクチン全般に対する認識に原因があるのではなく、COVID-19に対する認識に起因する可能性がある。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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